国宝『熊野御幸記』藤原定家筆
平安末期から鎌倉時代にかけて、上流階級の間では熊野三山を参詣する「熊野詣」が流行し、後鳥羽上皇は大勢の随身を連れ、生涯を通じて30回近く参詣した。 これは、建仁元年(1201年)の10月に熊野詣に随行した23日間を、藤原定家が記した記録で、定家にとっては初めての熊野詣であった。 定家の自筆による日記『明月記』は、別に国宝に指定されている。 また、参詣の途中で開かれた歌会で書かれた色紙は国宝『熊野懐紙』として西本願寺や陽明文庫に伝わっている。
この国宝を観るには
公開はそれほど多くないが、三井記念美術館に出展されることがある。
公開履歴
2020/7/1~8/31 三井記念美術館「三井家が伝えた名品・優品」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-786
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00012-00
【種別】古文書
【指定名称】熊野御幸記〈藤原定家筆/建仁元年十月〉
【ふりがな】くまのごこうき
【員数】1巻
【時代・年】鎌倉時代
【作者】藤原定家
【所在地】三井記念美術館
【国宝指定日】1967.06.15
【説明】建仁元年(一二〇一)十月、後鳥羽上皇の熊野御幸に随行した藤原定家(新古今集選者の一人)の旅行記の原本である。記録的には定家の日記「明月記」の別記的性格をもつと共に、史上著名な熊野詣での代表的史料でもあり、昨年三月、重要文化財に指定され、今回国定指定となった。