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国宝-書跡典籍|今昔物語集(鈴鹿本)[京都大学]

国宝DB-書跡・典籍

今昔物語とは

平安時代後期頃に成立したと考えられる説話集で、全31巻で構成(3巻分は失われている)され、千を超える話が収録されている。 「三宝絵詞」や「日本霊異記」「冥報記」などにみられる説話も編纂され、冒頭は「今は昔」で始まり、末尾は「となむ語り伝へたるとや」で締められる。 第1~5巻は天竺 (インド)、第6~10巻は震旦(中国)、第11~31は本朝(日本)で、仏教の説話が多いが、日本の貴人から庶民までの滑稽話や妖怪や奇譚なども多く収録され、宇治拾遺物語などにも共通の話がみられる。

国宝『今昔物語集』鈴鹿本

今昔物語が成立してから間もない鎌倉時代中期ごろに書写されたもので、代々吉田神社の神職を務める鈴鹿家に伝わったので「鈴鹿本」と呼ばれる。 現存最古の今昔物語の書写本で、第2・5・7・9・10・12・17・27・29巻の9冊が現存する。 平成3年(1991年)に、鈴鹿家から京都大学に寄贈され、修理を経て平成8年(1996年)に国宝に指定されている。

この国宝を観るには

公開の機会はあまり多くないが、3~5年に1度ほどは国立博物館での大規模な展覧会に出展されている。

公開履歴

2023/10/14~11/5 都城島津伝承館「島津荘」
2021/7/24~9/12 京都国立博物館「京の国宝
2017/10/31~11/5 京都国立博物館「国宝」
2014/10/15~12/7 東京国立博物館 「日本国宝」

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-8969
【指定番号】00273-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】今昔物語集
【ふりがな】こんじゃくものがたりしゅう
【員数】9冊
【国】日本
【時代・年】平安時代
【寸法・重量】縦32.4cm、横28.1cm 
【所有者】京都大学
【国宝指定日】1996.06.27
【説明】『今昔物語集』はわが国最大の説話集で、その成立は十二世紀前半と考えられている。この京都大学図書館所蔵になる鈴鹿本は、現存『今昔物語集』諸写本の祖本として著明な古写本で、巻第二・五・七・九・十・十二・十七・廿七・廿九の九巻分を存する。体裁は大判の袋綴冊子本で、近年の修理になる新補朽葉表紙を付している。原表紙は料紙共紙で外題はなく、本文料紙は楮紙に天単罫の押界を施している。各冊首に「今昔物語集巻第『幾』」と首題を掲げ、一字下げに部立を記し、ついで各標目を一行(巻十七は二段)に書すが、この「今昔物語集」の書名は本書によってのみ確定できるものである。本文は「今昔」で始まり、半葉一一行、行およそ二八字前後に「トナム語リ伝ヘタルトヤ」の形で統一された宣名書の片仮名交り文で、片仮名は小字で右寄せまたは割書し、文中には黒仮名点、声点が付されている。書写奥書はないが、その大判の体裁や料紙、書風等よりみて、鎌倉時代中期の書写本と認められる。本書の本朝部諸本の一部には、後筆で「総六丸」の披見識語があり、うち巻第廿七には「一見畢、南井房内総六丸、此比春日大社開門尤以目出タシ」云々とみえている。この識語は『大乗院日記目録』文安三年(一四四六)七月条の記事に一致し、『経覚私要鈔』宝徳三年(一四五一)七月四日条にみる今昔の貸借記事と相まって、本書の南都での伝来を考えるうえに注目される。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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