白滝遺跡のこと
北海道オホーツク地方の遠軽町(えんがるちょう)は黒曜石の名産地で、先土器時代(土器を使用しない時代、1万5千年~3万年前)の遺跡からは、多くの出土品が発見されている。 この地を流れる湧別川(ゆうべつがわ)の流域では「湧別技法」と呼ばれる石器の加工技術が発達した。 遺跡のある白滝エリアは、かつて紋別郡白滝村だったが、2005年10月に近隣の4町村が合併し「遠軽町」となった。
国宝『北海道白滝遺跡群出土品』
黒曜石(こくようせき)はマグマが一定の条件下で急速に冷えて出来たガラス質の火山岩で、日本では北海道の十勝や白滝、長野県の和田峠などで産出され、するどい刃に加工できるため世界の各地で石器として使用された。 この近辺からは、後期旧石器時代の前半期~後半期にかけての様々な石器が出土しており、その変換を眺めることができる。
湧別技法で作られた石器が特徴的で、この技法は中国やシベリアでもみられることから、当時の人々の往来をうかがうことができる。 1,965点の石器類が一括で国宝に指定され、国宝指定が発表された2022年時点では日本最古の国宝となる。 黒曜石の石器は比較的小型のものが多いが、全長36cmを超える大型のものも発見されている。
この国宝を観るには
白滝遺跡群から東に約5キロほどの場所にある「遠軽町埋蔵文化財センター」で常設展示されており、希望すれば学芸員の解説を聞くことができる。 夏期(5~10月)は休館日なしだが、冬期(11~4月)には土・日・祝・年末年始が休館になる。
館外での公開
2023/7/22~10/1 北海道博物館「北の縄文世界と国宝」
2023/1/31~2/19 東京国立博物館「新指定国宝・重要文化財」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-11465
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】
【種別】考古資料
【指定名称】北海道白滝遺跡群出土品
【ふりがな】ほっかいどういらたきいせきぐんしゅつどひん
【員数】一括
【国】日本
【時代・年】旧石器時代
【所有者】遠軽町
【重文指定日】2011.06.27
【国宝指定日】
【説明】本件は白滝遺跡群のうち、6遺跡から出土した後期旧石器時代の出土品一括である。