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国宝-書跡典籍|万葉集(金沢万葉)[皇居三の丸尚蔵館/東京]

国宝DB-書跡・典籍

万葉集とは

奈良時代にまとめられた歌集で、短歌のほか長歌・連歌・旋頭歌・仏足石歌が収められ、編纂には大伴家持が関わったとされる。 歌の数は4,500首を超えるが、その内の4,200首は短歌で、漢字を発音記号として使う「万葉仮名」で書かれる。 平安時代以降の歌集は貴人の歌が中心だが、万葉集は天皇や貴族の歌の上手から、農民や防人の歌まで採用されている。

国宝『万葉集(金沢本)』巻第二、第四残巻

加賀前田家の所蔵だったので「金沢万葉」と通称される平安時代の万葉集の写本で、雲母刷りをした華やかな料紙「彩牋(さいせん)」が用いられている。 伝承筆者は源俊頼であったが、現在は世尊寺流の藤原定信とする説が強い。 この金沢万葉とは別に、神奈川県の金沢文庫に伝来したと伝わる万葉集「金沢文庫本」も存在する。

明治43年(1910年)に、明治天皇が前田家に行啓した際に、巻第2の大半と巻第4の一部を1帖に仕立てたものが献上された。 前田家に残った巻第3と巻第6の残巻は、1955年に国宝に指定されている。

五大万葉集

奈良時代に成立した「万葉集」には多くの写本があるが、平安時代に遡るのは5点のみで「五大万葉集」と呼ばれている。 5点の通称と代表的なものは以下の通り。

藍紙本 国宝『万葉集巻第九残巻(藍紙本)』京都国立博物館
元暦校本 国宝『元暦校本万葉集』東京国立博物館
金沢本 このページの他、前田育徳会の国宝『万葉集(金沢万葉)』がある。
天治本 重文「万葉集巻第十五残巻」冠纓神社/香川県
桂本 御物のほか、断簡が各所に分蔵

公開履歴

2023/10/14~11/5 石川県立美術館「皇居三の丸尚蔵館名品展

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-12014
【指定番号】284
【種別】書跡・典籍
【指定名称】万葉集巻第二、第四残巻(金沢本)〈藤原定信筆/彩牋〉
【ふりがな】まんようしゅうまきのだいに、だいよん ざんかん かなざわぼん ふじわらのさだのぶひつ さいせん
【国】日本
【時代・年】平安時代院政期
【作者】藤原定信
【寸法・重量】各 縦21.7cm、横13.6cm
【附指定】浦景蒔絵冊子箱、桐冊子箱、宝永丁亥仲春望日前田綱紀箱書
【所在地】皇居三の丸尚蔵館
【所有者】国(文化庁保管)
【国宝指定日】2023.06.27
【解説】平安時代の『万葉集』の古写本で、金沢藩主前田家に伝来したことから「金沢本万葉集」と呼ばれている。『万葉集』巻第二と巻第四の残巻二帖であり、粘葉装の冊子本である。伝本の分類上、次点本に属し、仙覚(一二〇三~?)が校訂した新点本以前の古写本として重要な価値を有する。筆者は世尊寺家第五世の藤原定信(一〇八八~?)で、壮年期の筆と推定されている。定信書の特徴がよく表れ、速筆で全体の流れや流動感による美しさを追求した完成度の高い筆跡であり、和製唐紙(彩牋)を用いた美麗な料紙とよく調和し、書道史上においても高く評価されている。また、附の桐冊子箱には五代藩主前田綱紀(一六四三~一七二四)の箱書きがあり、綱紀の祖父三代藩主利常(一五九三~一六五八)の蔵書であったことが知られる。本帖は、「五大万葉」として知られる平安時代の『万葉集』の古写本の一つとして、我が国の文化史上において極めて高い価値を有する。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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