中宮寺のこと
奈良斑鳩の法隆寺に隣接する「中宮寺(ちゅうぐうじ)」は、法隆寺と同じ飛鳥時代の創建で、法隆寺とは男性僧と尼僧で分かれていたと考えられている。 聖徳太子が、母で用明天皇の皇后だった穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとひめみこ)没後に、御所を寺に改めた。 16世紀に伏見宮家から姫君が入寺し、以降は尼門跡寺院となる。
国宝『菩薩半跏像(伝如意輪観音)』
飛鳥時代に作られた半跏の菩薩像で、寺伝によると如意輪観音だが、弥勒菩薩として作られたという説もある。 クスノキの寄木造りで、現在は漆によって表面が黒くなっているが、制作当初は華やかな彩色がされていた。
丸みのある体形で背筋を伸ばして座し、手を軽く添えた口元には、穏やかな「アルカイックスマイル」と呼ばれる微笑をたたえる。 スフィンクス・モナリザとで「世界三大微笑」とされる。
この国宝を観るには
この像は、中宮寺の池に浮かぶ本堂に安置され、拝観時間内はいつでも観ることができる。 もう1点の国宝『天寿国繡帳』は寺では公開されていないが、本堂ではレプリカが展示されている。
2020年11月~2021年3月に本堂の修復工事が予定されており、その期間は本尊の拝観はできず、通常非公開の御位牌堂で身代り像が公開される。 国宝の本尊は、宮城県美術館(2020/11/12~12/25)と九州国立博物館(2021-1/26~3/21)の特別展へ出展される。
寺外での公開
2025/4/19~6/15 奈良国立博物館「超・国宝-祈りのかがやき-」
2022/9/3~10/30 北海道立近代美術館「国宝・法隆寺展」
2021/1/26~3/21 九州国立博物館「奈良 中宮寺の国宝」
2020/11/12~2021/1/12 宮城県美術館「奈良・中宮寺の国宝」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-184
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00023-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造菩薩半跏像〈(伝如意輪観音)/(本堂安置)〉
【ふりがな】もくぞうぼさつはんかぞう
【員数】1躯
【国】日本
【時代・年】飛鳥時代
【所在地】中宮寺
【国宝指定日】1951.06.09
鑑賞ログ
2019年1月
かなり久しぶりの訪問ですが、ご本尊の印象は残っていたのですが、この特徴的な池に浮かぶ本堂の記憶は全くありませんでした。 現代建築のようなモダンさだなと思ったら、1968年に高松宮妃のご発願で建てられたもののようです。 なるほど、モダンなはずですね。
お正月ですが、法隆寺も中宮寺もそれほど混んでおらず、ご本尊の前に座らせていただき、ゆっくり参拝できました。 観ているこちらも穏やかな笑みになるような、仏さまでした。