国宝『法隆寺 食堂』
法隆寺の中心、西院伽藍の東側に建つ奈良時代の建物で、元は事務を執る「政所」だったが、平安時代頃に僧が食事をとる食堂(じきどう)になった。 桁行(横幅)7間(柱間が7つ)、梁間4間の横長の建物で、すぐ南には並行して重要文化財の「細殿(ほそどの)」が隣接する「双堂(ならびどう)」形式で建てられている。
現在は、奈良時代に作られた重要文化財の塑造「薬師如来坐像」だけが安置されるが、現在は大宝蔵院に収蔵されている重要文化財の「梵天・帝釈天立像」「四天王立像」などは、食堂に安置されていた。
この国宝を観るには
法隆寺の宝物館「大宝蔵院」と、その手前に建つ「綱封蔵」の間に位置し、大宝蔵院に入るためのチケット確認所の先にあるので、有料で拝観すればいつでも観ることができる。 内部に入ることはできないが、仏生会のみ参拝可能。
この国宝での行事
お釈迦様の誕生日である4/8の法要「仏生会(花祭り)」は、食堂の本尊前に釈迦誕生仏が安置され、法要後は一般も甘茶をそそぐことができる。 食堂の中に入れるのは、この1日のみ。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-2702
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00104
【種別】近世以前/寺院
【指定名称】法隆寺食堂及び細殿
【ふりがな】ほうりゅうじじきどうおよびほそどの
【棟名】食堂
【ふりがな】じきどう
【員数】1棟
【時代・年】奈良時代
【構造・形式】桁行七間、梁間四間、一重、切妻造、本瓦葺
【所在地】奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内
【国宝指定日】1952.11.22
【説明】食堂は、法会が行われるさい、その儀式の一部として多数の僧侶が会食する場である。現食堂は『資財帳』中の政屋の一棟を平安時代の初めごろ改造転用したものとみられる。
幾時期かの部材がまじってはいるが、その骨格は当初のままとみてよく、肘木の曲線、円形断面の桁・棟木、二重虹梁などに天平様式の特色がよくあらわれている。
途中で使用目的が変更された建物ではあるが、細殿とともに今はあまりみることのできない双堂の伝統を伝えるものとして、はなはだ貴重な遺構である。