美しき備え-大名細川家の武具・戦着-
武家の名門で、江戸初期から幕末まで熊本藩主をつとめた細川家は、戦国~江戸初期に文武ともに名高かった藤孝・忠興(幽斎・三斎)父子以降、代々が茶道具や文献を収集し、そこに明治以降のコレクションも加わって、東京の永青文庫と熊本県立美術館を中心に一般に公開されています。
今回は、武家の名門らしく華やかな武具や、陣羽織など「戦着(いくさぎ)」の展覧会です。 戦国時代はもちろん実用重視なのですが、驚くほど意匠をこらした武具が多いですよね。 江戸時代も中ごろになると、戦は遠い昔のことで、実際の武装というよりも武士の誇りとして、代々が武具をあつらえたようです。 今回は、代々の細川家にゆかりのある武具や戦着と、教養豊かな細川家ならではの能や茶道具も公開されるようです。
この展覧会、もとは7/23~の予定でしたが、1つ前の展覧会「心のふるさと良寛 Ⅱ」が新型コロナによる休館で会期が延長されたので、開会が8/17で閉会は予定通り9/20と、期間が1ヶ月ほどになってしまいました。 他館からの貸出が少なく調整しやすかったのかもしれませんが、こんなに見応えのありそうな展覧会が1ヶ月だけというのはもったいなく感じます。 今年から「ぐるっとパス」に加盟して下さったことですし、忘れないうちに早めに行ってこようと思います。
この展覧会で観られる国宝
柏木兎螺鈿鞍(かしわみみずくらでんくら)
8/24~9/20
武将が威儀を整えるときに用いる、螺鈿や蒔絵で彩った「鞍」は、古くは古墳時代から有力者がその力の象徴として用いていました。 国宝に指定された伝世品の鞍は、武家に伝わるものは細川家の2点のみで、他は東京の御嶽神社に神馬と共に奉納された『円文螺鈿鏡鞍』と、奈良の手向山八幡宮に奉納された正倉院所蔵品に類似する2点のみです。
今回公開されるのは2点のうち「柏」と「木兎(みみずく)」をモチーフにした、平安時代の螺鈿細工の鞍です。 永青文庫のWEBサイトでの紹介では、源頼朝が「栗毛なる馬に柏木にみみつくすりたる鞍をかせて」とあり、柏木兎の意匠の鞍に騎乗している様子が記されている」とありますので、頼朝ゆかりの鞍ということなんでしょうか。 細川家に伝わったのも、細川藤孝(幽斎)が室町幕府第13代将軍の足利義輝から拝領したという由緒があるようです。
展覧会 概要
期間:2021/8/17~9/20
時間:10:00~16:30(入館は30分前まで)
休館:月曜日(9/20は開館)
料金:一般¥1,000、シニア¥800、大高生¥500、中学生以下無料
永青文庫 公式サイト