鑑賞ログ|京のかたな展@京都国立博物館 2018年11月鑑賞

鑑賞ログ|京のかたな展@京都国立博物館 2018年11月鑑賞

秋の関西遠征、初日の夜は京都国立博物館の「京のかたな」展です。 刀剣乱舞とのコラボ企画もあり、若い女性でとてもにぎわっていました。 「とうらぶ」のパネルやコラボ商品もたくさん出ているようで、コラボ商品は別館のほうで販売していたようです。

数年前までは、東博の刀剣コーナーですら閑散としていて、マニアックなおじさま方が静かに鑑賞されていたり、根付を観る感覚で目貫やつば等の刀装具を人がちらほらといったところ。 私も「このコーナーって意外と国宝多いのよね」くらいの流し見でしたが、最近はいつ行っても混んでますね。

刀でも特に「京の」と銘打っている特集展示。 刀剣マニアにはほど遠い私が行って楽しめるかとても不安でしたが、せっかくこんなに国宝が大集合しているのだから行ってみよう!とナイトミュージアムに参戦です。 国宝は前期・後期あわせて21点も出展されますが、後半のこの時期は以下のラインナップ。

以下、全て国宝
『太刀 銘三条 名物三日月宗近』[東博]
『太刀 銘久国』[文化庁/東博]
『太刀 銘則国』[京博]
『短刀 銘吉光』[立花家史料館]
『短刀 銘吉光 名物後藤藤四郎』[徳川美術館]
『太刀 銘定利』[東博]
『太刀 銘来孫太郎作(花押)正応五□辰八月十三日(以下不明)』[徳川美術館]
『短刀 銘来国次』
『短刀 銘国光 名物会津新藤五』[小松安弘興産]
『刀 金象嵌銘長谷部国重本阿(花押)黒田筑前守 名物圧切長谷部』[福岡市博物館]
『小太刀 銘来国俊』[日光二荒山神社]
『短刀 銘来国俊』[黒川古文化研究所]
『太刀 銘来国光』[九博]
『平治物語絵巻 六波羅行幸巻』[東博]

展示は、時代や「派」によってテーマが分けられています。 まずは「京のかたなの誕生」という事で、武士の世が始まる平安後期あたりが中心の展示。 少し前に東博の「デュシャン展」で観たばかりの『平治物語絵巻 六波羅行幸巻』も出展されています。 まさにその時代ですからね。 東博では、幽閉していた二条天皇がいないことに気づいて、屋敷中大騒ぎしているところ。 今回の展示は、武士たちが手に刀など武器を取って逃げる牛車を追いかけるところです。 かなり広範囲を展示してくれています。 刀本体だけでなく、こういった補足資料も多くて素人には大変ありがたいです。

次のコーナーは「後鳥羽天皇と御番鍛冶」というテーマで、三種の神器がそろわなかった後鳥羽天皇が刀をたくさん作らせていて、それを「菊御作」と呼んでいたらしいです。 なるほど、そう言われてみると品が良い刀が多いような気がしてきます。 刀は闘いだけでなく魔除けの意味があったり儀式にも使ったんですもんね。

ここからは本格的に武士の時代の刀になってきます。 粟田口派から始まり、京のかたなの、隆盛~苦難~復興~展開と、それぞれに活躍した背景や刀匠や派閥などわかりやすく展示してあります。 ・・・が、この辺はある程度の見識がないと難しいですね。 ちょっと見どころポイントをつかんでいるだけで、かなり楽しめるのでしょうが。 数年後に「なんであの時しっかり見なかったんだろう~」と後悔するかもしれません。 それでも、時代が下ってくると波紋がアヴァンギャルドになってきたりと、素人は素人なりに関心ポイントは出来てきます。

食べ比べや飲み比べもそうですが、1つだけ味わうと「普通の味」でも、いくつか飲み食べ比べていくとそれぞれの味の特徴がつかめてきたりします。 刀も1本だけ観るとただの「刀」なんですが、それぞれの解説を読みながら何十本も観ていくと、なるほどさっきのよりだいぶ長いなとか、この時代はこういう刀紋が流行っていたのかな、など逆にたくさん観ることでみどころは掴めてくる気がします。

刀以外では「絵巻」の展示が多かったです。 刀だけでなく、刀をめぐる物語や風俗を見せてくれるもので、真如堂縁起絵巻や岩佐又兵衛の堀江物語など展示されています。 絵巻で特に印象に残っているのが「秀次公縁起絵巻」で、太閤秀吉の甥っ子で後継ぎでもあった秀次が自害に追い込まれ、妻子たちも三条河原で処刑されてしまう一連の悲劇が描かれた絵巻。 かなりのスペースを取って展示してありますが、秀次が家臣たちと5名で自害するところでは、どんな名物の刀を使ったかが記されているそうです。

最後半は「京のかたなと人々」ということで、戦う刀というよりモチーフとしての刀といったイメージ。 町方のお祭りである祇園祭にも刀が登場しますが、橋弁慶山の牛若丸の人形や長刀鉾の新旧の刀も展示されています。 江戸の平和な時代になると、シンボル的な役割になったんでしょうね。

というわけで、これだけ系統立てて見比べられる機会はそうそうないと思いますので、逆に1本だけ観ても分かりづらいよという方は飛び込んでみると「違い」に気がつけるかもしれません。

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