鑑賞ログ|東西数寄者の審美眼@五島美術館[東京]

鑑賞ログ|東西数寄者の審美眼@五島美術館[東京]

紅葉が始まりかけの五島美術館「東西数寄者の審美眼」に行ってきました。

五島美術館正面の紅葉

東急電鉄の創始者である五島慶太氏と、阪急電鉄や宝塚歌劇団を含む阪急グループの創始者である小林一三氏のコレクションを対比?対決?させるように企画された展示で、元は1つの巻物だったものが断簡されて各美術館に収蔵されていたり、同じ作家のものを並べたり、それぞれが亭主として開かれた茶会の道具類が再現されていたり、とても面白い展示の仕方だと思いました。

国宝の出品は、前半10/20~11/11に『無準師範墨跡(山門疏)』(勧縁疏) 、後半11/27~12/9に『白描絵料紙理趣経(目無経)』ですが、私が訪問したのは後半で、『白描絵料紙理趣経』(目無経)を鑑賞することが出来ました。

目無経(国宝『白描絵料紙理趣経』)の詳細はこちらでどうぞ

白描絵料紙理趣経(目無経)[五島美術館/東京]

展示はまず、それぞれの消息やお願いをする手紙から始まります。 明日から別荘に行くだとか、前に見せてもらったアレがもう一度見たいとか、本当に普通のやり取りです。 今だったらメールやLINEでしそうなやりとりですが、親しさの中にも良い緊張感を感じます。

本格的な展示は「絵画」からですが、経典ですが「絵画」として国宝登録されている『白描絵料紙理趣経』が五島美術館から出され、逸翁美術館からは同じ巻物から制作されたと考えられる重文の「白描絵料紙金光明経」が出品されています。 他に両館から大江山の酒呑童子を描いた絵詞が出されていました。 絵画は逸翁美術館の文人画などが多く出されています。

個人的に一番気に入ったのは長沢芦雪の「降雪狗児図」ですね。 わりと大きい軸装で、雪の夜に子犬が2匹でたたずんでいるところですが、背景は墨一色で塗られていて、胡粉でしょうかボタン雪がちらほらと舞っています。 奥にいてこちらを向いている白犬は上を向いていますが、なんて癒されるほほえみ。 そして手前にいて後ろ姿の白黒犬はニュルっと横座りになっています。 芦雪の子犬はこの横座りの角度がいいんですよね~。 女の子犬はけっこうこの座り方するので、よく観察していたんでしょう。 子犬愛が伝わってくる逸品です。

展示室1は書と陶器ですが、これらも絵画のように両者の対比が面白く展示されています。 書で印象に残ったのは秀吉の書状ですが、五島美術館は茶々さん宛、逸翁美術館は寧々さん宛の書状です。 ともに軸装されていますが、茶々さん宛のはデレデレで寧々さん宛のは古女房への親しみを感じるものでした。 他に「伝小野道風筆、継色紙」「関戸本古今集」「伝藤原公任筆、堺色紙」など、元は1つの巻物やコレクションだったものが出品されていました。

小林一三は「逸翁」、五島慶太は「古経楼」の雅号を持ち茶人でもありましたので、それに関する収集品も多くあります。 書画なども茶席の軸に使われたでしょうし、陶器や茶道具も多く出品されています。 展示室1中央の陶器コーナーでは両館から、光悦作の黒茶碗や乾山の焼き物が1品ずつ出されていたり、面白いところではエミールガレの壺を花入れに見立てたものも出品されています。

展示室2はがっつり茶の湯の世界です。 こちらも両者のコレクションが並べられていますが、奥正面にある茶会の再現コーナーは見ごたえありました。 昭和22年に逸翁が小林邸の「大小庵」で開いた茶会の道具類と、昭和25年に古経楼が五島邸の「松寿庵」で開いた茶会の道具類が並べられています。もちろんそれぞれが客として招かれています。 展示ケースの床には道具類が並べられ、正面にはその時に掛けられた軸があります。 美術館ですがこういった場の再現を観られるのは貴重な機会ですよね。

ちなみに、逸翁の「大小庵」は現在「池田文庫」に移築されており、事前予約で借りることが出来るようです。 池田文庫と小林一三記念館には5つの茶室がありますが、貸し出しの他に月謝制の茶道・華道教室があるようで、こんな場所でお稽古できたら素敵ですね!

そして、古経楼の「松寿庵」は五島美術館の庭園内にあるのですが、残念ながら通常は非公開です。 ですが、12/15~2/17に開かれる「茶道具取合せ展」のイベントとして1/30(水)の11~16時に茶室「古経楼(松寿庵はこの中にある)」「冨士見亭」が公開されるようです。 追加料金はないようなので、ぜひ行ってみたいものです。

五島美術館 基本情報
WEB    https://www.gotoh-museum.or.jp/
住所   東京都世田谷区上野毛3-9-25
拝観時間 10:00~17:00(入館は~16:30)
休館日  毎月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替、夏期、年末年始など
入館料  通常:大人¥1,000、高校・大学生¥700、中学生以下¥0
特別展  展示により異なる場合あり
割引   団体20名以上¥800、ぐるっとパス2018で企画展無料
交通   東急大井町線「上野毛」徒歩5分、各線「二子玉川」徒歩15分
アクセス 渋谷から約40分、品川から約40分、東京駅から約60分
施設   庭園には季節の花々や石仏が点在(入園のみ¥300)、茶室は非公開
国宝   古林清茂墨蹟、史記、目無経、六祖挟担図、源氏物語絵巻、紫式部日記絵詞、日向国西都原古墳出土金銅馬具類
イベント 友の会を対象とした講座や教室、一般向けのギャラリートークなど週に1~3回あり
※訪問する時は最新の公式情報をご確認ください

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