善水寺のこと
奈良時代に元明天皇の勅命によって「和銅寺」として開かれた。 平安時代には、延暦寺建立の資材を求める最澄が日照りで材木を流すことができず、本堂横の「百伝池」から出現した薬師如来に請雨の祈祷をしたという。 その後、桓武天皇の病に百伝池の水を7日間祈祷して献上したところ、無事に快癒し「岩根山善水寺」の号が授けられた。
国宝『本堂』
国宝の『本堂』は南北朝時代の建立で、入母屋造りに檜皮葺の屋根を持ち、向拝(正面中央の階段などの上に手前に出っ張る部分)は無い。 一般的に外側に跳ね上げることが多い「蔀戸」(しとみど=平安時代の貴族の神殿などに見られる上に跳ね上げる建具)だが、ここの蔀戸は内側に開くようになっている。
本堂の中には、旧国宝で現在は重要文化財に指定されている15体の仏像を含む、30体もの仏像が安置されている。 本尊の薬師如来は秘仏で、国宝の本堂に附として国宝指定されている『厨子』に納められている。
この国宝を観るには
時間内は拝観できるが、山中のひっそりした古刹で、法要などで拝観できない場合もあるので、問い合わせた方が無難。 秋の紅葉時期は観光客でにぎわい、出店なども出る。
住所:滋賀県湖南市岩根3518
時間:9:00~17:00(11月~2月は~16:00)
休日:不定、法要時など本堂拝観不可の場合あり
料金:大人¥500、中高生¥300、小学生以下は保護者同伴で無料
交通:JR草津線「甲西駅」タクシー約15分
バス:甲西駅前からバス「めぐるくん」で「岩根(善水寺)」下車徒歩約10分(バス停からの約10分は坂道です)
駐車場:乗用車50台
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-1461
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00161
【種別】近世以前/寺院
【指定名称】善水寺本堂
【ふりがな】ぜんすいじほんどう
【員数】1棟
【時代・年】室町前期(1333~1392年)
【構造・形式】桁行七間、梁間五間、一重、入母屋造、檜皮葺
【所在地】滋賀県湖南市岩根
【所有者】善水寺
【重文指定日】1899.04.05
【国宝指定日】1954.03.20
ご朱印
国宝鑑賞ログ
2018年11月
「長寿寺」「常楽寺」とで「湖南三山紅葉めぐり」というキャンペーンをしていました。交通の便的には通常地と変わらないようで、コミュニティバスは1時間に1本程度なので事前に計画を練った方が良さそうです。 バス停からは急な坂道を上がり、途中からは昔はかなり広かったという善水寺の境内に入ります。 途中には立派な聖観音像が安置される「観音堂」もありますが、車だとこの観音堂は気付かないかもしれません。
善水寺本堂は山にありますが、開けた場所で明るい雰囲気です。 本堂は屋根の檜皮が傷んでいますが(寄付金の箱もありました)立派な構えの仏堂です。 中には所狭しと仏像が置かれていますが、御本尊の薬師如来は秘仏ということ。
善水寺の寺名にも関係する「百伝池」は本堂のすぐ横にあり、本堂の反対側には小じんまりした元三大師堂が建っていて、元三大師のおみくじがひけます。(大吉でした!)
ついでにグルメ
紅葉シーズンでそこそこの観光客はいますが京都の有名寺院ほどではなく、紅葉狩りにはちょうどいい穴場です。 ご朱印が少し混んでいますが、その間にお抹茶(お菓子付き)を頂きました。