高山寺のこと
京都市右京区の山あい、清滝川に沿って走る「周山街道」沿いに、高雄(高尾)の神護寺、槙尾の西明寺、栂尾の高山寺で「三尾(さんび)」と呼ばれ、紅葉の名所としても人気がある。
建永元年(1206年)に明恵上人が、奈良時代からの古寺で当時は神護寺の子院だったこの地を後鳥羽上皇から賜り、華厳宗の根本道場とする。 優れた学僧や絵仏師が集まり、現在まで伝わる多くの経典や美術品が制作された。 入宋僧で日本に茶の文化をもたらした栄西禅師が、中国から持ち帰った茶を明恵に贈り、明恵が高山寺に植えた日本最古の茶畑がある。
国宝『石水院(五所堂)』
明恵上人の頃には伽藍が整っていたが、ほとんどが失われており、現存するのは石水院のみである。 後鳥羽上皇の学問所が下賜されたと伝わる。 元は金堂近くにあり、経蔵として使われていたが、毎明治期に現在地に移築された。 長い歴史の中では、経蔵とともに春日・住吉の両神を祀る社殿となっていた時代もある。
こけら葺き妻入りの入母屋造りで、正面には1間の通り庇(とおりひさし)と呼ばれる屋根付きの広い縁側のようなスペースで、更に正面に向拝が付く。 経蔵だった時代から改装されたか、蔀戸など住宅風の造りになっている。
この国宝を観るには
通年で公開しているので、8:30~17:00ならいつでも拝観することができる。 高山寺の境内は無料で入ることができるが、秋は入山料が¥500必要。 石水院の拝観は別途¥800を支払う。
高山寺の所有する数多くの文化財は、博物館に寄託されており現地で観ることはできないが、石水院の内部にはいくつかのレプリカが展示されている。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-1850
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00121
【種別】近世以前/寺院
【指定名称】高山寺石水院(五所堂)
【ふりがな】こうざんじせきすいいん(ごしょどう)
【員数】1棟
【時代・年】鎌倉前期
【構造・形式】桁行正面三間、背面四間、梁間三間、正面一間通り庇、一重、入母屋造、
妻入、庇葺きおろし、向拝一間、こけら葺
【附指定】棟札 2枚
【所在地】京都府京都市右京区梅ヶ畑栂尾町
【重文指定日】1898.12.28
【国宝指定日】1953.03.31
ついでにグルメ
高山寺の石水院では、¥600で茶菓付きのお抹茶が頂けます。 日本のお茶発祥の地ですし、時間が許せばぜひ味わってください。 お菓子は、月の歌人と呼ばれた明恵上人にちなんだものでしょうか「栂の月」という、小豆を寒天でしっかりと固めたお菓子です。
石水院は、玄関や受付のある建物から渡り廊下で国宝建造物につながっていますが、お抹茶が頂けるのは玄関側の建物の渡り廊下に近い部屋なので、お抹茶を頂きながら国宝建築を眺めることができます。