太山寺のこと
太山寺(たいさんじ)は、霊亀2年(716年)に元正天皇の勅願によって、藤原鎌足の孫で不比等の子の「藤原宇合(うまかい)」が創建し、不比等の兄で鎌足の長男だったが僧籍に入った「定恵」が、開山と伝わる。 宇合が、明石の温泉で療養していた時に夢に薬師如来が現れ、そのお告げによって寺を建立し薬師如来をまつったという。 南北朝時代には南朝方の拠点の1つとなり、後醍醐天皇の皇子の護良親王に従い、その当時は多くの僧兵をかかえ、子院が40を超えるほどの勢力となった。
創建の由来は、天延元年(973年)に記された「播州太山寺縁起」によるものだが、境内や周辺からは奈良時代の遺物が発掘されておらず、実際にこの地に建立されたのは、平安時代頃だと考えられる。
国宝『本堂』
弘安8年(1285年)に、火災によってそれまでの本堂が焼失し、その後再建された建物が現在まで残っている。 正月1~7日には、修正会の法要が本堂で執り行われ、結願の7日には追儺式(鬼やらい)がある。
本堂は、桁行(横幅)が7間(柱の間が7つ)20m強、梁間(奥行)6間18m弱と大きく堂々とした密教形式の本堂。 内部は板敷きで、手前2間は参拝の場所である外陣、奥と左右の1間を後陣・脇陣とし、囲まれた部分が仏を安置する内陣となっている。 入母屋造りの屋根は銅板で葺かれ、蔀戸など和様の特色が強いが、禅宗様の要素もみられる。
この国宝を観るには
拝観時間内はいつでも参拝可能で、本堂の中も外陣までは入ることができる。
神戸市営地下鉄 西神・山手線「名谷」駅から、神姫バス明石駅行きで「太山寺」下車すぐだが、バスは2時間に1本ほど。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】102-2251
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00182
【種別】近世以前/寺院
【指定名称】太山寺本堂
【ふりがな】たいさんじほんどう
【員数】1棟
【時代・年】弘安8年(1285年)
【構造・形式】桁行七間、梁間六間、一重、入母屋造、銅板葺
【所在地】兵庫県神戸市西区伊川谷町
【国宝指定日】1955.06.22
【説明】弘安八年(一二八四)焼失後まもなく再建されたもので、規模大きく、密敎本堂の優秀な作品
ついでにグルメ
太山寺の入口にある仁王門から、左右に塔頭を見ながら本堂に向かう途中にある「太山寺珈琲焙煎室」は、3人も入ればいっぱいになってしまう、こじんまりしたお店ですが、店内には大きな焙煎機がある本格的な珈琲店です。
シングルオリジンからブレンドまで、たくさん並んでいるので迷いますが、好みや温冷を伝えると、お店の方がアドバイスしてくれて、ゆったり楽しい時間が過ごせます。
お店の中には席はありませんが、エントランスにベンチやテーブルセットがあって、気候の良い時は緑を眺めながらひと休みできます。 コーヒー専門店ですが、お知り合いのお店のものと思われる、素朴なスイーツが少しあったので、小腹の足しにもできますよ。