垂迹画とは
神仏習合には、日本の神々は仏が化身して現れたものだという「本地垂迹(ほんじすいじゃく)」という思想がある。 平安時代末頃からこの説が盛んになり、すべての神社の神に対照する本地仏が定められたが、明治の神仏分離で分離される。 垂迹画(すいじゃくが)はそれを絵にしたもので、春日曼荼羅や山王曼荼羅などのように、神社に祀られた神々の本地仏を曼荼羅状に配したものが多い。
国宝『那智滝図』
この画は、熊野三山の1つ「熊野那智大社」の滝自体がご神体とされる「飛瀧権現(ひろうごんげん)」を描いてあり、ご神体である滝だけを描いた垂迹画はこの一例のみ。 岩の表現などに、中国の宋や元の影響が見られる。
豊かな水量でまっすぐに落ちる滝が、縦長の画面の上から下まで描かれ、上部に輝く月輪によって、ただの風景画ではなく神格化された垂迹画だと解釈できる。 下方に描かれた卒塔婆や拝殿などから、亀山上皇が熊野詣をした後の制作とされ、京に戻っても眺められるように描かれたと考えられている。
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根津美術館のWebサイト「コレクション」で画像を見られます。
この国宝を観るには
根津美術館の収蔵品の中では公開が少ないもので、数年に一度しか公開されない。
公開履歴
2024/7/27~8/25 根津美術館「美麗なるほとけ」
2023/11/21~12/3 東京国立博物館「やまと絵」
2020/11/14~12/20 根津美術館「根津美術館の国宝・重要文化財」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-7
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00007-00
【種別】絵画
【指定名称】絹本著色那智滝図
【ふりがな】けんぽんちゃくしょくなちたきず
【員数】1幅
【国】日本
【時代・年】鎌倉時代
【所有者】根津美術館
【国宝指定日】1951.06.09