詩画軸とは
鎌倉時代に禅宗の影響で水墨画が盛んになり、その後の室町時代には「詩画軸(しがじく)」と呼ばれる作品が、将軍家や禅僧など文化人の間で流行する。 これは、主に縦長の紙の下の方に水墨画を描き、上部には画題に因んだ漢詩「賛」を書き入れたもの。 送別や何かの記念などで、寄せ書きのように作られたものが多い。
国宝『渓陰小築図』
鎌倉五山の中でも別格とされる、南禅寺の塔頭「金地院」に伝来した詩画軸で、南禅寺の「子璞(しはく)」という僧が、書斎に「渓陰(けいいん)」と名付けたのを記念して、応永20年(1413年)に作成されたもの。
山あいに流れる穏やかな川に、せり出すように茅葺の田舎家が描かれるが、これは実際の様子を写したものではなく、理想の書斎の姿を描いたものだといわれる。 上部には大岳周崇(だいがくしゅうすう)ほか5名の僧が賛を書いている。
この国宝を観るには
東京国立博物館に寄託されており、通常展や特別展に出展される場合があるが、頻度はそれほど多くない。
公開履歴
2023/5/9~6/4 東京国立博物館 国宝室
2020/1/15~2/9 東京国立博物館 国宝室
2017/10/31~11/26 京都国立博物館「国宝」
2016/11/8~11/27 東京国立博物館「禅―心をかたちに―」
2016/5/3~5/22 京都国立博物館「禅ー心をかたちにー」
2014/10/15~11/9 東京国立博物館「日本国宝展」
2012/3/20~4/22 東京国立博物館 本館3室
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-13
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00013-00
【種別】絵画
【指定名称】紙本墨画渓陰小築図
【員数】1幅
【時代・年】応永20年(1413年)
【ト書】応永二十年河東真去の序、全愚周崇等六僧の賛がある
【所有者】金地院
【国宝指定日】1951.06.09