源氏物語絵巻[五島美術館/東京]

源氏物語絵巻[五島美術館/東京]

国宝『源氏物語絵巻』

源氏物語が成立の約150年程後に制作された絵巻物で、その頃に活躍していた絵師「藤原隆能」の作と伝わったため「隆能源氏」と呼ばれたが、最新の研究では絵詞ともに各々複数のグループによって作られたと考えられている。 昭和初期に保存のため断簡され額装になっている。(徳川美術館のものは額装後に巻物に戻された)

現存する源氏絵では最古だが全巻は揃っておらず、尾張徳川家に伝わったものと蜂須賀家に伝わったものが現存するほか、詞書の断簡がいくつか残っている。 尾張徳川家伝来の絵15面と詞28面は徳川美術館が所蔵し『源氏物語絵巻』として国宝に指定されている。 蜂須賀家に伝わったものが益田鈍翁などの手を経て五島慶太の所有となり、現在は五島美術館が所蔵している。

五島美術館の所蔵は絵4面と詞9面で、全て国宝に指定されている。 場面は一部の後半で、「鈴虫」から2場面、「夕霧」と「御法」から1場面ずつで、絵1面に対し詞書が2~3面で構成されている。

「やまと絵」で描かれており、人物は引目鉤鼻にしもぶくれで、公達や女房や尼などそれぞれの風俗をしている。 吹抜屋台と呼ばれる屋根を省略して室内の様子を上から見下ろすように描く手法で、当時の室内の設えや調度などの様子がよくわかる。 詞書部分も、蒔絵などきらびやかに装飾された料紙が使われている。

五島美術館チラシより

源氏物語38帖「鈴虫」1

かなり年上で叔父にあたる源氏のもとに嫁いだ女三宮が、柏木との不倫に悩んだ末に出家し、源氏が庭に鳴く虫を放つなど風流に作った御殿に暮らしている様子を描いたもの。 尼女房と女房がおり、左下の衣が訪ねてきた源氏だと考えられる。

源氏物語38帖「鈴虫」2

源氏が蛍兵部卿宮や夕霧と共に冷泉院(実は源氏の不倫の子供)の元に伺候し、管弦の遊びをする様子を描いている。 2000年に発行された二千円札の裏面左側には、この絵の冷泉院と源氏が向き合っている部分が採用されている。

源氏物語39帖「夕霧」

源氏に似ず女性関係は真面目だった息子の夕霧が、長年想っていた女宮へ思いを打ち明けるが願いが叶わず帰宅し、そこへ関係があったと誤解した宮の母から手紙が来たのを夕霧の妻が誤解して取り上げる場面。 女房が扉外で聞き耳を立てている。

源氏物語40帖「御法」

源氏の最愛の妻である紫の上の臨終を描いた巻で、この場面は養母の危篤で里下がりした明石中宮と源氏と紫の上が別れを惜しんでいる様子。 御簾の外には秋草が風になびいている。

この国宝を観るには

所蔵館の五島美術館で、毎年GW前後に10日間ほど公開される。

こちらで画像が見られます

五島美術館Webサイト「コレクション」→「源氏物語絵巻」で画像が確認できます

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-37
【指定番号】00034-00
【種別】絵画
【指定名称】紙本著色源氏物語絵巻〈絵四面/詞九面〉
【員数】13面
【国】日本
【時代・年】平安時代
【所在地】五島美術館
【国宝指定日】1952.03.29

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

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