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国宝-絵画|不動明王像(黄不動)[曼殊院/京都]

国宝DB-絵画

曼殊院のこと

曼殊院(まんしゅいん)は、平安時代初期に最澄によって比叡山に創建されたことに始まり、桂離宮を造営した八条宮智仁親王の第2皇子の良尚法親王が入寺し現在の地に移る。 曼殊院の建築や作庭には、良尚法親王の兄にあたり桂宮家を継ぎ桂離宮を完成させた智忠親王からの影響がみられ、わびさびを体現した数奇屋風書院の代表作の1つといわれる。

国宝『不動明王像』

密教が興隆し不動明王信仰が盛んだった平安時代には、祈祷の本尊や修法の際に堂内にかけるための仏画が多く制作され、特に霊験あらたかとされた三井寺の黄不動、青蓮院の『青不動』、高野山明王院の赤不動は「三不動」と呼ばれて信仰を集めた。 黄不動と青不動は国宝に、赤不動は重要文化財に指定されている。

これらの仏画は模本が多く作られ、曼殊院に伝わる不動明王像は、三井寺の国宝『不動明王像(黄不動)』の最古級の模本で、その模写技術だけでなく芸術的な評価も高い。 概ね忠実に模写されているが、三井寺の黄不動は虚空に立っており、曼殊院のものは多くの不動明王の作例にみられる磐座の上に立つ点が異なる。

2013年から2年間かけて修復が行われ、絹地の裏から着色を行う「裏彩色」の技法が用いられていたことや、仏画を描く際に清めた水で禊を行う「御衣絹加持(みそぎぬかじ)」によって小さい不動明王が腹部に薄墨で描かれていることが確認された。

国宝『不動明王像』曼殊院本の模本[東京国立博物館]※下部の青い線は照明の反射です

この国宝を観るには

公開される機会が少なく、時おり展覧会などへ出展されるのみだったが、2023年の里帰り特別公開後には秘仏となり、劣化を防ぐために博物館で保管される。 今後は修復中に制作された模本が公開されるが、寄託先博物館で公開されるかは不明。

公開履歴

2023/5/13~6/30 曼殊院「里帰り特別公開」
2017/10/31~11/26 京都国立博物館「国宝」

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-105
【指定番号】00102-00
【種別】絵画
【指定名称】絹本著色不動明王像
【ふりがな】けんぽんちゃくしょくふどうみょうおうぞう
【員数】1幅
【時代・年】平安時代
【所有者】曼殊院
【国宝指定日】1954.03.20

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋

鑑賞ログ

2023年5月

修復後の里帰り特別公開で、今後は秘仏になると発表されたので急いで行ってきました。 ・・・ですが、その後のニュースでは博物館に寄託されて「見ることがすくなくなる」とありましたので、完全秘仏ではなく、大きな展覧会などではお目にかかれそうでしょうか?

この特別公開は、新しいご門主の就任と宸殿の再興、黄不動像の修復完了などを記念してのもので、黄不動像は新しい寝殿の1室に模本と並べてかけてありました。 平安時代の作品ですが、とても状態がいいんですね。 怒りの表情に誇張した肉体の不動明王ですが、さすがに平安時代のものは上品で、厳かな静かな迫力を感じるお不動様です。

今回の特別公開で感動したのは、黄不動が安置されているのは再興された寝殿で、現代の私たちが新築の寝殿に入る機会はめったにないので、とても貴重な体験だと思います。 きれいな白木に金ぴかの金具が美しくて、源氏物語で新築された六条院に入った女君の気持ちを想像しつつ、これまた美しい庭を眺めてきました。 残念ながら建物内は撮影NGで、書院の縁に敷かれた敷物の上からは庭の撮影をしてもOK、寝殿は敷物などありませんでしたので庭の写真も自粛しました。

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