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国宝-彫刻|聖徳太子・侍者像[法隆寺 聖霊院]

国宝DB-彫刻

国宝『木造聖徳太子坐像・侍者像』

法隆寺の中心地「西院伽藍」の外側には、かつて僧侶が起居した僧坊が残っており、廻廊の東側の棟は『東室』、西側の棟は『西室』としてどちらも国宝に指定されている。 平安時代に太子信仰が盛んになると、聖徳太子をまつるために東室の南端を改装して『聖霊院』が作られ、内陣の3室に分かれた厨子には聖徳太子を中心に関連する人物の像が安置されている。

向かって左の厨子には如意を持つ山背王像、筥を持つ殖栗王像と、重要文化財の如意輪観音像を安置。 向かって右の厨子には大刀を持つ卒末呂王像、柄香炉を持つ恵慈法師像と、重要文化財の地蔵菩薩を安置する。 中央の聖徳太子像の像内からは、小型の観音菩薩像といくつかの経典が納入されており、附として国宝に指定されている。 法隆寺の記録には、平安時代末期に聖霊院が改装されたことが残っており、像の様式からもこの頃に像が作られたと考えられている。

聖徳太子は、袍(ほう)を着用し手に笏を持つ正装姿をしており、勝鬘経(しょうまんきょう)の講義をする「勝鬘経講讃像」だとする説や、摂政の姿だとする説がある。 頭には、中国皇帝などのかぶる冕冠の「冕板」を乗せた巾子冠(こじかんむり)をつけ、巾子の前には聖徳太子が信仰した毘沙門天の小さい化仏を置くが、これは後補だとされる。 山背王と弟王達は「みずら」を結った童子姿で、表情も愛嬌がある親しみやすい像になっている。

国宝『聖徳太子像』聖徳太子と法隆寺展チラシより

聖徳太子

用明天皇と穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとのひめみこ)の間に第2皇子として生まれ、厩戸皇子(うまやどのおうじ)と呼ばれた。 用明天皇の妹で日本初の女性天皇になった「推古天皇」の摂政として、仏教を中心とした国づくりを目指し、随との交流や、冠位十二階・憲法十七条などの制定を行った。 太子の一家は「上宮王家」と呼ばれ、夢殿などがある法隆寺東院のあたりに「斑鳩宮」を営んだ。

山背王(やましろおう)

聖徳太子の長男で、母は蘇我馬子の娘で蘇我蝦夷の妹の蘇我刀自古郎女(そがのとじこのいらつめ)。 皇族の重要な皇子の尊称「大兄」を付けて「山背大兄王」とも呼ばれ、太子の死後は上宮王家を継ぎ、将来を嘱望されるが政争に巻き込まれ、一族は斑鳩宮で自害に追い込まれた。

殖栗王(えぐりおう)

聖徳太子の同母弟で、用明天皇の第5皇子にあたる。 有名な聖徳太子と二童子を描いた肖像画は、山背王と殖栗王の2人だとされている。 肖像画は仏画の三尊形式を模して描かれているので童子は小さいが、聖徳太子と殖栗王にはそれほどの年の差はない。

卒末呂王(そとまろおう)

聖徳太子の異母弟で、用明天皇の第3皇子として生まれ、麻呂子王(まろこおう)や当麻皇子とも呼ばれた。 母は葛城氏出身で、葛城氏の氏寺「當麻寺(当麻寺)」を創建した。

恵慈法師

高句麗の僧で、推古天皇3年(595年)に渡来すると、聖徳太子の仏教の師となり、大陸の情報も伝えてる。 推古天皇23年(615年)に帰国し、推古天皇30年(622年)に聖徳太子の師を知ると大変悲しんで、翌年の同日に入滅したといわれる。

国宝の附指定

銅造観音菩薩立像(木造蓬來山及亀座付)1躯
紙本墨書妙法蓮華経(本製経筒入)2巻
紙本墨書維摩経並勝鬘経(本製経筒入)1巻(奥に筆師法隆寺僧隆暹敬白とある)

この国宝を観るには

法隆寺西院伽藍の廻廊外側にある国宝『聖霊院』に安置されているが、中秘仏のため厨子の扉が閉ざされている。 現在、聖霊院の外陣は、法隆寺の御朱印授与所として使われているので、ほとんどの人が厨子にも気を留めずに、御朱印の行列を作っている。

3/22~24の「お会式」では、秘仏の聖徳太子像がご開帳されるが、供物が山高く積まれて像を観ることが難しい。 3/21の夕方に行われる「お逮夜」では、法要後に像を観ることができるが、暗くて短時間のため詳細まで観ることは難しい。

※2020年と2021年は、新型コロナのためお逮夜とお会式への一般参加不可

法隆寺 聖霊院

寺外での公開

2022/9/3~10/30 北海道立近代美術館「国宝・法隆寺展
2021/7/13~9/5 東京国立博物館「聖徳太子と法隆寺
2021/4/27~6/20 奈良国立博物館「聖徳太子と法隆寺

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-223
【指定番号】00061-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造聖徳太子〈山背王、殖栗王/卒末呂王恵慈法師〉坐像(聖霊院安置)
【ふりがな】もくぞうしょうとくたいしりゅうぞう
【員数】5躯
【国】日本
【時代・年】平安時代
【所有者】法隆寺
【国宝指定日】1952.11.22

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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