国宝『盧舎那仏坐像』
「奈良の大仏」として有名だが、正式には『銅造盧舎那仏坐像』で、盧舎那仏(毘盧遮那仏とも)は華厳宗で重要な経典とされる「華厳経」で説かれている。 密教の大日如来と同一とされ、宇宙の中心を表しているとされる。 右手は「施無畏印(せむいいん)」で慈悲を表し、左手は「与願印(よがんいん)」で智慧で願いをかなえることを表現。
聖武天皇によって天平15年(743年)に発願され、天平勝宝4年(752年)に開眼供養が行われている。 大仏造営は国家事業として行われたが、民衆にも「一枝の草、ひとつかみの土」と呼び掛けられ、菩薩と呼ばれた行基も勧進に出ている。 造営には当時の人口の1/3もの人々が関わったともいわれる。 大仏の開眼時には聖武天皇はすでに譲位して皇女の孝謙天皇の御代となっていたが、インドの僧「菩提僊那(ぼだいせんな)」による開眼供養には光明皇太后と共に参列している。
奈良時代に造られた大仏は、平安時代末期に平家の焼き討ち、戦国時代に松永久秀らによる戦火で焼失しているが、線刻画の描かれた蓮華座の一部は奈良時代のものが残っている。 研究により諸説あるが、蓮華座の他に右腋~脚部などは奈良時代のものという説が強い。
この国宝を観るには
国宝『大仏殿(金堂)』に安置されており、冬期は8:00~17:00、夏期は7:30~17:30に入堂可能で、毎日混んでいるが朝早い時間は比較的空いている。 大晦日やお盆8/15には、大仏殿の「観相窓(かんそうまど)」が開けられ、中門や参道から大仏の顔を拝見することができる。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-271
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00107-00
【指定名称】銅造盧舎那仏坐像(金堂安置)
【ふりがな】どうぞうるしゃなぶつざぞう
【員数】1躯
【時代・年】奈良~江戸時代
【所在地】東大寺大仏殿
【国宝指定日】1958.02.08