国宝『毘沙門天立像・吉祥天立像』
毘沙門天と吉祥天は、本尊『釈迦如来像』の手前両脇に立ち、2躯を1具として、修法「吉祥悔過」の本尊とされた。 向かって右に毘沙門天、向かって左に吉祥天を配置する。 この2躯が制作され金堂に安置されたため、それまで大講堂で行われていた吉祥悔過が、金堂で行われるようになった。
承暦2年(1078年)に作られ、平安時代らしい穏やかな姿と表情をしている。 檜の一木造りで、衣には華やかな彩色がされ、截金で装飾が入れられている。 毘沙門天は右手に小塔を、吉祥天は左手に宝珠を捧げ持っている。
毘沙門天と多聞天
毘沙門天は四天王の多聞天と同一で、インドの神「Vaiśravaṇa」が仏教に取り入れられたもの。 音訳したのが毘沙門天で、意訳したのが多聞天だが、日本では四天王だと多聞天、単尊だと毘沙門天とする場合が多い。 法隆寺の本堂には、四天王としての「多聞天」と、単尊の「毘沙門天」が同じ空間に置かれている。
この国宝を観るには
法隆寺の金堂に安置されているため、拝観時間内ならいつでも観られる。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-278
【指定番号】00114-01
【指定名称】木造毘沙門天立像(金堂安置)
【ふりがな】もくぞうびしゃもんてんりゅう
【員数】1躯
【台帳・管理ID】201-11035
【指定番号】00114-02
【指定名称】木造吉祥天立像(金堂安置)
【ふりがな】もくぞうきちじょうてんりゅうじょう
【員数】1躯
【種別】彫刻
出典:国指定文化財等データベース 一部抜粋
【時代・年】1078年
【国宝指定日】1967.06.15
【説明】金堂の本尊銅造釈迦三尊像(国宝)の左右に安置されている木彫像で、最勝会【さいしようえ】の本尊として承暦二年(一〇七八)につくられたことが記録によってわかる。一メートル強の小像とはいえ、このころの穏健な作風を示す代表的な名品で、保存も良く、特に全面に施された彩色や切金の各種文様は華麗を尽す。