国宝『玳玻天目茶碗』
玳玻(たいひ)とは、玳瑁(たいまい=ウミガメ)の甲羅のことで、釉薬をかけて焼いた表面が、鼈甲のような模様に見える焼物。 玳玻盞(たいひさん)とも呼ばれ、この茶碗を所有していた江戸時代の茶人大名「松平不昧」による箱書きがある。
天目茶碗は、膨らみが少ない茶碗で、留学僧が天目山からもたらしたため、この名で呼ばれる。 南宋貿易で日本に多くもたらされ、室町時代から珍重されてきた。 曜変天目や油滴天目などが国宝に指定され、国宝の茶碗8点のうち、天目茶碗が5つを占める。
口径が12cm弱の小ぶりの茶碗で、外側は玳玻模様、内側には花模様が並んでいることから「梅花天目」とも呼ばれる。 口の縁には、覆輪という金属製の輪がついている。 茶碗の下部分「高台」は非常に小さく、ボウルのように見える。
この国宝を観るには
所蔵する相国寺(京都市)にある「承天閣美術館」で公開される場合があるほか、国立博物館などでの特別展にも、数年に一度程度は出展される。
公開履歴
2024/11/17~2025/2/2 相国寺承天閣美術館「禅寺の茶の湯」
2022/10/8~12/4 京都国立博物館「京に生きる文化-茶の湯-」
2020/4/28~6/21 京都市京セラ美術館「京の国宝」※開催中止
2019/10/5~3/29 相国寺承天閣美術館「茶の湯」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-382
出典:国指定文化財等データベース 一部抜粋
【指定番号】00094-00
【種別】工芸品
【指定名称】玳玻天目茶碗
【ふりがな】たいひてんもくちゃわん
【員数】1口
【国】中国
【時代・年】南宋時代
【寸法・重量】高6.7cm、口径11.8cm、高台径3.5cm
【品質・形状】素地は淡卵殻色の堅い半磁質で内外全面に黒飴色の光沢の強い天目釉をjかけ、さらにその上から失透性の藁灰釉をかけて文様を表す。
【伝来・他】大阪・上田三郎右衛門-松平不昧-雲州松平家 付属品 袋 紹鴎緞子裏茶海気/緒つがり遠州茶 黒漆塗挽家 外・内箱 いずれも桐白木 書付松平不昧「玳玻盞」
【所有者】相国寺
【国宝指定日】1953.03.31
【説明】玳玻天目は中国出土のものがあるが、古くから伝世したものはほとんどなく、特に本茶碗のように文様が整い、釉薬が美しいものは非常に珍しいため、古来より名碗として著名である。 江戸時代中期頃には、大阪の上田三郎右衛門が所持していたものを松平不昧公が入手し、大名物として愛玩したと言われる。
鑑賞ログ
2019年11月
相国寺承天閣美術館「茶の湯 禅と数寄」に出展されていました。 茶道具の名品が多い美術館で、今回は国宝が2点とも観られるお得な企画展です。
玳玻天目茶碗は360度で観られる独立ケースに入っていて、見込みもしっかり鑑賞できました。 天目茶碗はだいたい小型ですが、これは特に小さく感じます。 高台がほとんど見えないほどで、それも小さく見える要因でしょうか。 どちらかと言うと、シックな鼈甲模様よりも、ちょっと派手派手しくもある中の花紋に目がいきます。