日御碕神社のこと
出雲大社の北西6kmほどの岬にある神社で、境内には、天照大御神をまつる下の宮「日沈宮(ひしずみのみや)」と、神素盞嗚尊をまつる上の宮「神の宮」があり、2社を総称して「日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)」という。 同じ天照大御神をまつる神社で、日の出が見える場所に近く日本の昼を守るとされる伊勢神宮に対し、日御碕神社は日没が見え日本の夜を守るとされる。
国宝『白絲威鎧(兜・大袖付)』
鎌倉時代後期の大鎧(馬上で着用され、腰から下の草摺が4枚に分かれる)で、古くは源頼朝の奉納だとされていた。 胴体部分は傷みが大きいが、中央には羂索と剣を持ち炎の中に立つ不動明王が見える。
文化2年(1805年)に松江藩主の松平治郷(後の不昧)によって修復され、その時に好感された威糸や紐などは保管され、修理の記録が文書と図面で残されている。 現代の文化財修復の姿勢にも通じるものがあり、評価が高い。
この国宝を観るには
寄託先の東京国立博物館でまれに公開されるが、機会はあまり多くない。 他館への貸し出しもそれほど多くない。
公開履歴
2022/8/30~11/20 東京国立博物館5・6室
2020/4/24~5/18 島根県立古代出雲歴史博物館「行列 雲州松平家と出雲国造家」※新型コロナで中止
2016/6/14~9/4 東京国立博物館5・6室
2015/4/7~7/5 東京国立博物館14室
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-401
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00108-00
【種別】工芸品
【指定名称】白絲威鎧〈兜、大袖付/〉
【ふりがな】しらいとおどしよろい〈かぶと、おおそでつき〉
【員数】1領
【時代・年】鎌倉時代
【寸法・重量】胴高63.6cm、兜鉢高11.2cm、大袖高39.4cm
【品質・形状】平札黒漆塗、鉄革札一枚交じり、威毛白糸、耳糸亀甲打、畦目啄木、菱縫紅糸。前立挙三段、後押付板、逆板、三の板の三段、衝胴四段、草摺脇楯共四間五段、前後菱縫板二間に割る。
【所在地】東京国立博物館
【所有者】日御碕神社
【国宝指定日】1953.03.31
【説明】本鎧は極めて精緻な製作で、ほぼ完存しており、形状や意匠からは鎌倉時代末のものと考えられる優品である。文化二年に松江城主松平不昧公が甲冑師寺本喜市に命じて修補させたが、陶磁の残片および修補仕様明細書を存し、新補部分を明瞭にするなど、その修理もまた巧妙で後世の範とすべきものがある。