国宝『熊野速玉大社 古神宝類』
和歌山県の「熊野三山」のうち「熊野速玉大社」に伝わる神宝類で、足利義満が奉納したものが中心となる。 内容は1,200点以上を超え、男神・女神それぞれに衣服や武具などが調整されているが、桧扇などは絵入りを持たない男神にも絵柄の入ったものが奉納されるなど、人に対するのとは異なる部分もある。
特に有名なものとして以下などがある。
檜扇(ひおうぎ):木の薄い板で作った大型の扇で金箔や彩色される。
桐唐草蒔絵手箱:漆蒔絵で作られた箱に化粧道具一式が入っている。
玉佩(ぎょくはい):男性の装身具、公家が装束の帯に飾った。
組紐(くみひも):麻紐を芯に、色絹糸を編んで柄を織りだした。
金銀装鳥頸太刀:御小松天皇奉納とされる装飾の拵の直刀。
内容の一覧
袍(萠黄浮線綾丸文固綾)1領
薄衣(萠黄幸菱文固綾)8領
薄衣(白遠菱文固綾)1領
薄衣(白幸菱文固綾)1領
薄衣(淡紅幸菱文固菱)1領
薄衣(白小葵文固綾)1領
唐衣(緯白小葵文浮織)7領
唐衣(萠黄小葵文固綾)1領
唐衣(蘇芳蓮唐草文銀襴)1領
表袴(白窠霰文二重織)1腰
表袴(緯白椿唐桑文綾)1腰
直衣(白竜胆文綾)1領
指貫(濃香雲立涌文固綾)1領
海賦裳(白小葵文固綾)8腰
衾(朽葉人物花唐草文繻珍)1帖
衾(白小葵文固綾)1帖
衾(黄地浮線綾丸文唐織物)6帖
平裹(黄地浮線綾丸文唐織物)1帖
衣(濃香小葵文綾)残闕 1口
衣(白遠菱文綾)残闕 1口
衣(香小葵文綾)残闕 1口
袴(紅平絹)残闕 5口
衵(蘇芳小花文銀襴)1領
衵(香雲立涌文固綾)3領
衵(萠黄小葵浮線綾丸文二重織)2領
衵(経縹緯白小葵文固綾)1領
衵(淡紅小葵文固綾)3領
衵(萠黄小葵文固綾)7領
衵(淡香小葵文綾)1領
両面打組紐残闕 6条
金銅装錦包懸守 1懸
冠 1頭
松喰鶴蒔絵冠箱 1合
挿頭華 30枚
木笏 1握
椰蒔絵笏箱 2合
玉佩 2旒
桐蒔絵玉佩箱 1合
義髻 28条
彩絵檜扇 10握
紅条紙 21帖
附 懐紙 3条
錦包挿鞋 2双
唐華蒔絵挿鞋箱 2合
桐蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1面、蒔絵鏡箱1合、銀歯黒箱2合、銀白粉箱1合、銀薫物箱2合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻2本、銀眉作1本、銀櫛払1箇、銀菊花形皿3口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、桐蒔絵櫛箱1合、附 赤地錦袋1口)
桐蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1面、蒔絵鏡箱1合、銀歯黒箱2合、銀白粉箱2合、銀薫物箱2合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻2本、銀眉作1本、銀歯黒筆1本、銀櫛払1箇、銀菊花形皿3口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、附 黄地錦袋1口)
桐唐草蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1面、蒔絵鏡箱1合、銀歯黒箱2合、銀白粉箱2合、銀薫物箱2合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻2本、銀眉作2本、銀歯黒筆1本、銀櫛払1箇、銀菊花形皿3口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、桐唐草蒔絵櫛箱1合)
籬菊蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1面、蒔絵鏡箱1合、銀歯黒箱2合、銀白粉箱2合、銀薫物箱2合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻2本、銀眉作2本、眉刷毛1本、銀歯黒筆2本、銀櫛払1箇、銀菊花形皿3口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、籬菊蒔絵櫛箱1合、附 赤地錦袋1口)
牡丹蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1枚、蒔絵鏡箱1合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻2本、銀眉作2本、銀歯黒筆2本、銀櫛払1箇、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、附 赤地錦袋 1口)
橘蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1面、蒔絵鏡箱1合、銀歯黒箱2合、銀白粉箱2合、銀薫物箱2合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀眉作1本、銀歯黒筆2本、銀櫛払1本、銀菊花形沙羅3口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、附 赤地錦袋 1口)
菊唐草蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1面、蒔絵鏡箱1合、銀歯黒箱2合、銀白粉箱2合、銀薫物箱2合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻2本、銀眉作1本、銀歯黒筆2本、銀櫛払1箇、銀菊花形皿3口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、附 赤地錦袋1口)
唐花唐草蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1面、蒔絵鏡箱1合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻2本、銀眉作2本、銀櫛払1本、銀菊花形皿2口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛27枚、附 赤地錦袋1口)
唐花唐草絵巻手箱 1具
(白銅鏡1面、蒔絵鏡箱1合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻2本、銀眉作2本、銀歯黒筆2本、銀櫛払1本、銀菊花形皿2口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、附 赤地錦袋1口)
梛蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1面、蒔絵鏡箱1合、銀歯黒箱2合、銀白粉箱2合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1箇、銀髪掻2本、銀眉作2本、銀歯黒筆1本、銀櫛払1箇、銀菊花形皿3口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、附 赤地錦袋1口)
松楓蒔絵手箱 1具
(白銅鏡1面、銀歯黒箱1合、銀薫物箱2合、銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻2本、銀眉作2本、銀歯黒筆1本、銀櫛払1箇、銀菊花形皿3口、白磁皿1口、銀解櫛1枚、蒔絵櫛29枚、附 赤地絹袋1口)
手箱内容品 1括
(銀鑷1箇、銀鋏1箇、銀耳掻1本、銀髪掻1本、銀解櫛3枚、銀覆輪櫛4枚、蒔絵櫛28枚)
松竹双鶴文鏡 1面
附 黒漆平文鏡箱 1合
桐樹双鶴文鏡 1面
(附 黒漆平文鏡箱1合、赤地錦袋1口)
桐唐草双鶴文鏡 1面
(附 黒漆平文鏡箱1合、赤地錦袋1口)
籬菊双鶴文鏡 1面
(附 黒漆平文鏡箱1合、赤地錦袋1口)
籬菊双鶴文鏡 1面
(附 黒漆平文鏡箱1合、赤地錦袋1口)
椰双鶴文鏡 1面
(附 黒漆平文鏡箱1合、赤地錦袋1口)
松楓双鶴文鏡 1面
(附 黒漆平文鏡箱1合、赤地錦袋1口)
松楓双鶴文鏡 1面
(附 黒漆平文鏡箱1口、赤地錦袋1口)
金銅壺鎧1双
金銅轡 1双
金銅杏葉 17箇
金銀装鳥頸太刀 2口
(附 平緒残片1枚、赤地錦袋2口、朱塗太刀唐櫃1口)
朱塗弓 2張
(附 赤地錦弓袋1口、朱塗弓唐櫃1合)
桐文蒔絵平胡籙 1具
(金銅鏑矢2隻、金銅箭28隻)
桐文蒔絵平胡籙 1具
(金銅鏑矢2隻、金銅箭28隻、附 赤地錦袋1口、朱塗平胡籙櫃1合)
松鶴蒔絵苧笥 2合
白銅鏡 6面
桐蒔絵硯箱 1合
水晶玉 4顆
(附 赤地錦袋4口)
松鶴蒔絵〓笥 2合
松喰鶴蒔絵〓 2枚
金銅〓 1双
銀縫針 7本
朱塗唐櫃 12合
金銅〓 1箇
朱塗案 12基
(附 赤地錦袋1口)
松喰鶴蒔絵御衣箱 4合
赤地小葵文錦包木枕 1箇
(附 赤地錦袋1口)
銀蒔絵衣架 12具
鉄杵 2口
鉄杵 2口
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-469
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00178-00
【種別】工芸品
【指定名称】古神宝類
【ふりがな】こしんぽうるい
【員数】一括
【国】日本
【時代・年】室町時代
【所有者】熊野速玉大社
【国宝指定日】1955.06.22
【説明】神宝目録などから、明徳年間に調進された神宝類が一部含まれることが分かるが、等しく室町時代の工芸各分野にわたる代表的な作例として、また類品がほとんどない貴重な品目を網羅し、その種類の豊かさと美術的価値のみならず中世風俗を伺い得る資料の集大成としても非常に意義深い一群である。
公開履歴
2025/4/26~6/15 大阪市立美術館「日本国宝展」※展示期間未確認
2024/12/7~2025/1/19 和歌山県立博物館「熊野信仰の美と荘厳」
2024/7/20~9/1 奈良国立博物館「フシギ!日本の神さまのびじゅつ」
2024/1/2~3/10 東京国立博物館 12室
2024/1/2~2/12 京都国立博物館 名品ギャラリー
2023/1/2~2/26 京都国立博物館 名品ギャラリー
2022/10/1~10/30 三井記念美術館「大蒔絵展」
2022/4/22~5/8 MOA美術館「大蒔絵展」
2021/11/23~2022/2/20 東京国立博物館 12室
2021/10/16~11/23 和歌山県立博物館「きのくにの名宝」
2021/7/17~8/22 和歌山県立博物館「かたちのいみ-えがかれたものがたり」
2021/7/24~9/12 京都国立博物館「京の国宝」
2020/3/24~6/14 東京国立博物館 12室
2020/1/2~3/22 東京国立博物館 12室
2019/12/7~2020/1/13 奈良国立博物館 名品展
2019/8/14~9/16 京都国立博物館「京博寄託の名宝展」
2019/3/9~4/21 和歌山県立博物館「国宝・古神宝の世界」
鑑賞ログ
2019年1月
サントリー美術館「扇の国、日本」
この国宝は義満の奉納で、隣には八代義政が奉納した重要文化財の桧扇も展示されてありました。 きれいに彩色された桧扇ですが、少し前に東博で見た江戸時代の宮中で使用されていたものよりもシンプルでした。 装飾品と奉納品の違いなのか、時代の違いなのかどちらでしょうか。