春日大社のこと
平城京遷都と共に、藤原不比等が藤原氏の氏神である鹿島神を祀ったのに始まり、繁栄を続けた藤原氏の庇護のもと現在に至る。 御本殿には「武甕槌命」「経津主命」「天児屋根命」「比売神」の4柱の神々が祀られるほか、摂社・末社が61社祀られている。 全国に3,000あるといわれる春日社の本社で、貴族や武将が奉納した燈籠が数多く残されている。
国宝『本宮御料古神宝類』
「神宝」とは、神に奉納する宝物のことで、平安期以降は宝物の他にも衣類や身の回りの調度品など、神々が生活するかのような品物も奉納されるようになる。 本品は、春日大社の本殿に安置されていた神宝類292点を1件として国宝に指定したもので、装飾性の高い刀から紐の残闕まで多岐にわたる品が残されている。 春日大社には、摂社「春日 若宮神社」の古神宝類も伝わっており、これらは『若宮御料古神宝類』として国宝に指定されている。
古神宝類 一覧
黒漆平文鏡台 1基
金銀幣 2枚
細身鉄鉾(内七本石突欠失)13本
平身鉄鉾(内三本石突欠失)12本
木鉾(内二本穂折損)38本
鉾柄 3本
鉾身 1枚
紫檀螺鈿餝劔 1口
黒漆平文餝劔(柄白鮫)4口
栗漆平文餝劔(柄銀打鮫)5口
黒漆平文餝劔(柄欠失)1口
黒漆平文太刀 1口
蒔絵箏 1張
平緒残闕 2筋分
組紐残闕 1筋分
組紐残闕 1筋分
黒漆平文笥(蓋欠失)1口
黒漆平文根古志形鏡台 1基
黒漆彩文麻笥 1口
黒漆平文線柱 1基
白葛箱残闕 1合
木彫黒漆彩色太刀 4口
黒漆刀子 1口
黒漆平文唐櫛笥及台 1具
梓弓 38張
黒漆平文唐櫛笥台 1基
木笏及黒漆平文笏箱 1具
黒漆平文笏箱残闕 1合分
緑地彩絵琴箱 1合
緑地彩絵琴箱 1合
青瑠璃壺残闕及金銅蓋 1合分
神宝附属残闕類 1括
槻弓 16張
雑木弓 14張
白葛胡籙残闕 3具分
黒塗矢(内二十隻鏃欠失)91隻
鏑矢 4隻
木造彩色矢 5隻
この国宝を観るには
春日大社の参道に「国宝殿」があり、春日大社が所蔵する国宝からテーマに合わせた複数が出展される。 展示替えはおおむね半年ごと。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-490
出典:国指定文化財等データベース一部抜
【指定番号】00199-00
【種別】工芸品
【指定名称】本宮御料古神宝類
【ふりがな】ほんぐうごりょうこしんぽうるい
【時代・年】平安時代
【所有者】春日大社
【国宝指定日】1955.02.02
【説明】本宮古神宝類は各殿に奉安された神宝の徹下品で、整理された一群である。『三代実録』に記されるように、鎮座当時から御神宝類は奉献されていた。『延喜式祝詞』にも、春日祭に調度品や装束などが奉献された名目が記され、治安元年(1021)には、奉献神宝の目録が見える。また、千鳥家文書では、永祚元年(989)三月二十二日、一条天皇の行幸をはじめとして代々生かすが行幸ならびに神宝奉献のことが朝廷の慣例となり、弘安9年(1286)に至るまで行われていたことが知られる。 本古神宝類は、長期にわたるもので、鎌倉時代の奉献にかかるものもあるが、総じて平安時代の調進と推定されるものが大部分である。それぞれが時代の特色をよく示し、一群の資料としても貴重である。
鑑賞ログ
2019年1月
今回は刀が中心の展示。 名刀もありますが、平安期に金で作られた装飾性の高い刀や、豪華な蒔絵の拵えもあわせて展示してあるなど、刀マニアでなくても楽しめる内容でした。
2019年5月
今回は「鼉太鼓」という舞楽で使用する大型で装飾的な太鼓が、修復が完了したお披露目でした。 2つ1組になっていて、龍と鳳凰の彫刻は慶派によるもので、仏像以外では最大級なんだそうです。 他の展示も舞楽や音楽に関するものが多く、琴や衣装などあり源氏物語好きには楽しい内容でした。