国宝『法華経(久能寺経)』
平安末期の装飾経で、法華経は8巻に開結を加えた10巻で構成されるが、8巻を「品」ごとに28品に分け、そこに開結を加えた30巻で構成された。 現在、鉄舟寺には19巻が伝わり、残りは東京国立博物館や五島美術館などに分蔵されている。
鳥羽天皇と皇后の待賢門院を中心に、1巻を1人が受け持ち30人の人物が結縁する「結縁一品経」で、それぞれの巻末にその人物の名が記されている。 金銀箔を多用し、見返し(巻の最初の部分)に絵画が描かれたものもある。 平家納経よりも古く、まとまった数が残る装飾経としては最古級である。
久能寺(現在の鉄舟寺)のこと
推古天皇の御代に、秦氏出身の久能忠仁が現在の久能山上に観音菩薩をまつり「補陀落山久能寺」とした。 平安~鎌倉時代には大いに栄え、360を超える僧房を有する大寺院となった。 国宝の久能寺経をはじめ、源義経の奉納と伝わる笛など、この時期の貴重な文化財が多く伝わっている。
戦国時代に入ると、武田信玄が久能山に城を築くために、寺は久能山の北東3kmほどの現在地に移される。 江戸末期から明治にかけて荒廃するが、明治の中頃に山岡鉄舟によって再興され、寺名も「鉄舟寺」に改められた。
この国宝を観るには
東京国立博物館に寄託されており、鉄舟寺では観ることができない。 寄託先の東京国立博物館で毎年のように公開されるほか、他館への貸し出しもある。
公開履歴
2025/2/18~3/16 東京国立博物館 国宝室
2023/8/29~10/1 東京国立博物館 国宝室
2022/7/20~8/28 東京国立博物館 3室
2022/4/22~5/8 MOA美術館「大蒔絵展」
2021/7/6~8/15 東京国立博物館 3室
2020/7/7~8/16 東京国立博物館 3室
2018/4/10~5/13 東京国立博物館 国宝室
2018/8/7~9/17 東京国立博物館 3室
2017/11/14~11/26 京都国立博物館「国宝展」
2016/8/23~9/19 東京国立博物館 国宝室
2015/4/7~5/17 奈良国立博物館「平安古経展 」
2014/11/11~12/7 東京国立博物館「日本国宝展」
2014/5/27~7/6 東京国立博物館 国宝室
2013/7/13~9/8 東京国立博物館「和様の書」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-662
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00129-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】法華経〈(久能寺経)/〉
【ふりがな】ほけきょう
【員数】19巻
【国】日本
【時代・年】平安時代
【所有者】鉄舟寺
【国宝指定日】1952.11.22