国宝『法華経(運慶願経)』
仏師「運慶」の発願によって制作された法華経の一部で、全8巻からなる法華経のうち巻第1は失われ、真正極楽寺(真如堂)に伝わる巻第2~7は国宝に指定されている。 朝日新聞の創業者の1人上野理一氏の蒐集品で、現在も上野家が所有する。
奥書きによると、安元年間(1175~1177年)に発願し、寿永2年(1183年)に女大施主「阿古丸」の援助を得て書写されたとあるが、阿古丸については運慶の妻説など諸説ある。 快慶ら一門の仏師も含む48名の名前が記され結縁されており、慶派一門の事業として行われたようだ。
平清盛の命によって平重衡が治承4年(1180年)に行った「南都焼討」では、東大寺や興福寺など奈良の大寺や文化財が焼失し、運慶らはその復興で名をあげるが、この経巻の軸部分は焼失した東大寺の木材を使っている。 墨を磨る水は、延暦寺・清水寺・三井寺の水を使用している。
この国宝を観るには
それほど頻繁ではないが、展覧会に出展されることがある。
公開履歴
2021/2/2~3/7 京都国立博物館「新聞人のまなざし」
2017/9/26~11/26 東京国立博物館「運慶」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-677
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00149-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】法華経巻第八
【ふりがな】ほけきょう
【員数】1巻
【国】日本
【時代・年】1183年
【ト書】寿永二年六月五日運慶願経
【所有者】個人
【国宝指定日】1952.11.22