情報|京都国立博物館 2021年2月の名品ギャラリー(新聞人のまなざし・日本書紀)

情報-博物館・美術館

京都国立博物館「名品ギャラリー」

京都国立博物館の展示は、大きなテーマで入場料も高額になる「特別展」と、小さめの企画がいくつかや、自館の所蔵品・寄託品をジャンルごとに展示する「名品ギャラリー」があります。 夏~秋には、「聖地をたずねて」「皇室の名宝」と2つの特別展が続きましたが、3月までは名品ギャラリーとして2~3の企画や特集展示があります。

実は、京都や奈良の国立博物館はこの通常展の充実度が高くて、自館で所蔵する作品を中心に、国宝・重要文化財がゴロゴロという豪華さなんです。 この2月は、朝日新聞の社主だった上野家と、日本書紀と東アジアの古文献という2つの企画があるので、出展される国宝をまとめてみました。

もちろん1階には、この博物館の本尊的な存在の国宝『五智如来坐像』がいらっしゃいます。 13件の国宝を観られて、大人¥700の入館料なので、1件あたりで割ると¥54というコスパの良さです。

京都国立博物館 平成知新館

新聞人のまなざし─上野有竹と日中書画の名品─(2/4~2/28)

朝日新聞の社主で社長もつとめた上野理一氏は、中国の書画や日本の古美術のコレクターで、「有竹」の号をもつ文化人でした。 昨年2020年は、理一氏の息子の上野精一氏によって「仏教美術研究上野記念財団」が設立されて50周年で、上野家の所有品と、上野家から京都国立博物館に譲られた美術品の展覧会が企画されました。 2020/8/26~9/22の予定でしたが、新型コロナウィルス感染拡大防止のために、2021/2/4~2/28に延期しての開催です。

今回は、2Fにある5つの展示室を使って、「仏画・経典」「古典籍」「宋~明の書画」「清の書画」「日本の名品」のテーマで構成されています。 上野家旧蔵で現在は京都国立博物館にある2件と、現在も上野家が所有する2件、あわせて4件の国宝が公開されます。 個人蔵のものは公開が少ないので、可能なら観ておきたいところです。

国宝『山越阿弥陀図』京都国立博物館

今回の企画のメインビジュアルに使われている鎌倉時代の来迎図で、阿弥陀如来を6人の菩薩が取り巻く姿が山あいに描かれたものです。 仏教美術研究上野記念財団は、この絵画を譲った費用で設立されたのだそうです。

国宝『漢書 楊雄伝』京都国立博物館

8世紀ごろに書写された、中国の歴史書「漢書(かんじょ)」の現存最古の写本で、唐時代のものはこれ以外には発見されていないんだそうです。 平安時代に日本で加えられた、漢文を読むための訓点が書き込まれています。 

国宝『法華経(運慶願経)』巻第8[個人蔵]

運慶一門によって制作されたという法華経8巻のうち、2~7巻は京都の真正極楽寺(真如堂)が所有し、8巻が上野家に伝わっています。 この8巻の奥書に、結縁された48名の名前や、この経典が作られた詳細が書かれた貴重なものです。

国宝『王勃集 巻第28』[個人蔵]

こちらも上野家の所蔵品で、中国・唐時代の詩人「王勃(おうぼつ)」の詩文集です。 東京国立博物館にある29・30巻とは一連のもので、王勃の没後から遠くない時期に書かれたと思われる、現存最古の古写本です。

参考:王勃集 巻第29・30[東京国立博物館]

国宝「日本書紀」と東アジアの古典籍(2/4~2/28)

この企画展は、養老4年(720年)に「日本書紀」が完成して1300年の記念企画で、年は越していますが、2020年度の事業ということになるようです。 現在、4件の日本書紀の写本が国宝に指定されていて、その内の京都国立博物館が所蔵する2件が公開されます。(残り2件は、前田育徳会と天理大学図書館)

2件の日本書紀の他に、古い時代に書写された経典や文書が公開されます。 年代がわかる中で最も古い『浄名玄論』から平安時代の書跡が多く公開されるほか、中国の随~宋時代の文書類、朝鮮半島の高麗時代の古写経と、漢字文化圏の時代や国の違う筆跡を見比べることができるようです。

国宝『浄名玄論』巻第4

念維摩経について書かれた研究書で、飛鳥時代の慶雲3年(707年)に書かれたもので、年代がはっきりした中では2番目に古い日本書写の文書です。

国宝『新撰類林抄』巻第4残巻

中国・唐時代の漢詩をジャンル別に分類した詩文集で、平安時代の日本で書かれたものです。 伝承筆者が弘法大師空海で「南院切」として珍重されましたが、現代では空海の筆跡ではないと考えられているようです。

国宝『日本書紀(岩崎本)

平安時代に書写されたもので、内容も吉田本より古いようです。 22巻は「推古天皇」、24巻は「皇極天皇」と、2巻とも女帝についての書で、人気のある時代のものなので、部分的には読める部分もあるかもしれません。

国宝『稿本北山抄』巻第10(藤原公任筆)

藤原公任が、婿だった藤原道長の子息「教通」のためや、道長に請われて書いたといわれる、宮中の有職故実などをまとめた文書です。 この「稿本」は、公任が北山抄を作るために書いた下書きで、公任の直筆という貴重なものです。

国宝『日本書紀(吉田本)

古代から占いを家業とした卜部家(後の吉田家)に伝わったもので、徒然草の作者「吉田兼好」もこの一族です。 神代の上下2巻で、伊弉諾・伊弉冉による国生み、天照大神の天岩戸や素戔男尊の八岐大蛇退治など、どの部分が観られるか楽しみです。

国宝『真草千字文』[個人蔵]

「千字文」は、1,000個の漢字を1度も重複することなく使用した漢詩文で、古くから現代まで書のお手本に使われました。 「真」は楷書、「草」は草書のことで、2行が並べて書かれています。 王義之の子孫で随時代の書家「智永」による現存唯一の筆跡です。

国宝『世説新書』巻第6残巻

3~4世紀の中国の様々な人物のエピソード集で、唐時代の写本の第6巻が、4か所に分かれて所蔵されています。 京都国立博物館には「規箴」と「捷悟」があり、規箴は人を見る目に関するエピソード、捷悟は物事をうまくさばくエピソードがまとめられています。

参考:国宝『世説新書巻第六残巻(豪爽)』東京国立博物館

国宝『紺紙金字大宝積経(高麗国金字大蔵経)』巻第32

高麗王朝の統和24年(1006年)に王母が発願した一切経で、紺紙に金泥で写経を、銀泥で表紙と見返しに絵が描かれています。 南北朝時代の嘉慶2年(1388年)8月に、滋賀県の金剛輪寺に施入された記録があるので、古い時代に日本に伝わったようです。

雛まつりと人形(2/9~3/7)

毎年2~3月は、あちらこちらの美術館博物館でひな祭りの展覧会が開かれる、鉄板人気のテーマです。 いつもなら着物姿で連れ立った女性客で華やかでしょうが、今年はこういった状況なので、いつもより寂しいかもしれません。

ただ、こんな時期ならではの楽しみがあって、江戸時代に疱瘡が軽く済むように祈られたという「猩々(しょうじょう)」の人形が並ぶようです。 能や歌舞伎を観る方なら、この時点でワクワクされるのではないでしょうか。 猩々は、歌舞伎の連獅子のような真っ赤な髪と衣装で、お酒が大好きな物の怪?妖精?です。 童子姿で表されることも多いので、かわいらしい人形が観られるのではないかと思います。 

1階の1部屋だけで、国宝や重要文化財の出展はありませんが、かわいらしいお気に入りの人形が見つかりそうな、楽しそうな展示です。

京都国立博物館 時間・料金・休日・アクセス

時間:9:30~17:00(入館は30分前まで)※この期間は夜間開館は中止
料金:一般¥700、大学生¥350、高校生以下無料
休館:毎月曜日

京都国立博物館 公式サイト

タイトルとURLをコピーしました