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国宝-書跡典籍|医心方(半井家本)[東京国立博物館]

国宝DB-書跡・典籍

国宝『医心方(半井家本)』

医心方(いしんぽう)は、平安時代中期の鍼博士「丹波康頼(たんばのやすより)」が、中国の医学書を編纂して作った、日本最古の医学書。 現存する最古の写本で、長らく宮中にあったが、室町時代に正親町天皇から典薬頭だった半井光成(なからいみつなり)に下賜され、以後は同家に伝わったため「半井家本」と呼ばれる。 医心方は他に、丹波家の控えから書写したと伝わる『仁和寺本』が国宝に指定されている。

全30巻と1冊が揃う半井家本は、大多数の27巻が平安時代の書写で、巻第25と第29だけは別系統の本である。 この他、鎌倉時代の写本が1巻と、江戸時代の写本が2巻と1冊が補われている。 医心方は漢文で書かれており、平安時代の同系統25巻には天養2年(1145年)に藤原忠実によって仮名や訓点が書き加えられている。 巻第22の産婦の絵図(江戸時代後補)を除き絵は用いられず、巻頭に目次のように病名を書き、その後に1つずつ詳しい記述をしている。

国宝『医心方(半井家本)』巻第1
国宝『医心方(半井家本)』巻第30は食物が列記されている
国宝『医心方(半井家本)』巻第9
国宝『医心方(半井家本)』巻第22(江戸時代後補)のみ絵図が入る
附指定の江戸幕府借用関係文書

国宝の内容

巻第1 治病大体部(ちびょうだいたいぶ)
巻第2 忌鍼灸部(きしんきゅうぶ)
巻第3 中風部(ちゅうぶうぶ)
巻第4 鬢髪部(びんぱつぶ)※鎌倉時代
巻第5 頭面部(とうめんぶ)
巻第6 胸腹痛部(きょうふくつうぶ)
巻第7 陰瘡幷穀道部(いんそう ならびに こくどうぶ)
巻第8 手足部(しゅそくぶ)
巻第9 咳嗽部(がいそうぶ)
巻第10 積聚幷水腫部(しゃくじゅ ならびに すいしゅぶ)
巻第11 霍乱幷下痢部(かくらん ならびに げりぶ)
巻第12 消渇幷大小便部(しょうかつ ならびに だいしょうべんぶ)
巻第13 五労七傷部(ごろうしちしょうぶ)
巻第14 治卒死幷傷寒部(ちそつ ならびに しょうかんぶ)
巻第15 癕疽部(ようそぶ)
巻第16 腫物部(しゅもつぶ)
巻第17 丹毒瘡部(たんどくそうぶ)
巻第18 湯火幷灸不愈部(とうか ならびに きゅうふゆぶ)
巻第19 服石部(ふくせきぶ)
巻第20 服石諸病部(ふくせきしょびょうぶ)
巻第21 婦人部(ふじんぶ)
巻第22 婦人部(ふじんぶ)※江戸時代
巻第23 産婦部(さんぷぶ)
巻第24 治無子部(ちむしぶ)
巻第25の1 小児部(しょうにぶ)
巻第25の2 小児部別巻(しょうにぶべっかん)※江戸時代
巻第26 延年部(えんねんぶ)
巻第27 大体養生部(だいたいようじょうぶ)
巻第28 房内部(ぼうないぶ)※江戸時代、冊子
巻第29 飲食部(いんしょくぶ)
巻第30 証類部(しょうるいぶ)

附指定 江戸幕府借用関係文書(7通)

この国宝を観るには

東京国立博物館の所蔵品の中では公開が少ない。 2015年~2020年に450年ぶりに大掛かりな修理が行われ、2022年に修理完了を記念して全巻が公開された。

公開履歴

2022/10/18~11/13 東京国立博物館 150周年「国宝 東京国立博物館のすべて
2022/2/8~3/21 東京国立博物館 特集「医心方の世界」全30巻+附文書全て公開
2012/7/10~8/19 東京国立博物館 国宝室

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-832
【指定番号】00272-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】医心方(半井家本)
【ふりがな】いしんぽう
【員数】30巻、1冊
【時代・年】平安時代
【寸法・重量】(第一巻)縦27.4cm、全長24.8m
【ト書】巻第二十五、第二十九紙背保安大治年間文書及長承二年具注暦
【附指定】江戸幕府借用関係文書(七通)1巻
【所在地】東京国立博物館
【国宝指定日】1984.06.06
【説明】『医心方』(三十巻)は、永観二年(九八四)に丹波康頼が撰進したわが国現存最古の医書である。内容は、治病大体部、鍼灸部等三十部門に分けて、医療、本草、養生等の肝要をまとめたもので、文中に引用する中国の医書には、現在逸書となったものが多く、東洋医学史上に重視されている。この半井家本は、その平安時代後期の写本で、現存最古写本のまとまった遺巻である。 全三十巻、一冊のうち、二十五巻には文中に天養二年(一一四五)に宇治入道大相国藤原忠実の本によって書き込まれた訓点や校異、および医家本等による校異などがあり、この半井家本の由緒の正しさを示すとともに、その訓点は平安時代の国語資料としても貴重である。また巻第二十五、第二十九の二巻は平安時代後期の書写になる別本で、紙背には長承二年(一一三三)具注暦および保安・大治年間頃の文書およそ五十通があり、院政期のまとまった文書として歴史学上にも注目される。そのほか、鎌倉時代写本一巻、江戸時代写本二巻、一冊をあわせた全巻を完存し、中世以来の医家として著名な半井家に伝来した。なお、幕末期に江戸幕府の医学館において本巻の書写・板刻が行われ、版本として万延元年(一八六〇)に刊行された。附の文書はその際に、本巻の返還をめぐって幕府と半井家との間に交わされた書状類である。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
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