国宝『虚空蔵菩薩立像』
虚空蔵菩薩は、虚空(=無限の空間、宇宙)のような知恵を持つとされ、密教では記憶力の修法「求聞持法」の本尊とされた。 知恵の御利益があると、虚空蔵菩薩への十三参り(数え年の13歳でお参りする)もされる。
カヤの一木で、ほとんど彩色をしない檀像として作られた、平安初期らしいどっしりとした風貌の像。 この像は、一般的によく見る平安末期以降の虚空蔵菩薩の姿とは異なり、やや腰をひねって立っており手は印を結んでいる。
近年まで「聖観音菩薩」だと思われており、重要文化財の指定は聖観音としてされていたが、醍醐寺の版木などから虚空蔵菩薩であることが判明し、2015年の国宝指定は「虚空蔵菩薩」とされた。
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醍醐寺文化財アーカイブス →「醍醐寺の国宝・重要文化財」→「平安時代」
この国宝を観るには
展覧会に出展されるほか、春・秋に開催される醍醐寺霊宝館の特別展で公開されることもある。
公開履歴
2024/10/12~12/3 醍醐寺 霊宝館「文化財の継承」
2021/7/24~9/12 京都国立博物館「京の国宝」
2019/10/15~12/10 醍醐寺 霊宝館「醍醐寺の至宝」
2019/1/29~3/24 九州国立博物館「京都・醍醐寺展」
2018/9/19~11/11 サントリー美術館「京都・醍醐寺展」
2017/10/3~10/29 京都国立博物館「国宝」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-03520
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00130-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造虚空蔵菩薩立像
【ふりがな】もくぞうこくうぞうぼさつりゅうぞう
【員数】1躯
【時代・年】平安時代
【所有者】醍醐寺
【国宝指定日】2015.09.04
【説明】醍醐寺山内の子院・菩提寺に虚空蔵菩薩として伝えられた像で、台座蓮肉及び天衣垂下部を含み榧の一材より彫出する。作風より九世紀前半の製作とみられる。複雑に交錯する衣文を深く克明に刻み出す彫技は見事で、平安前期檀像の代表作の一つである。
鑑賞ログ
2018年9月
サントリー美術館「醍醐寺展」
それほど大きくない像で、聖観音だと伝わっていたのが、文書などの研究で虚空蔵菩薩だと判明したらしい。 虚空蔵菩薩は坐像のイメージが強いし、雰囲気的には確かに観音様ぽい。 厚みがあるけど、衣の柔らかい感じはとてもエレガント。