国宝『紺紙金字大宝積経(高麗国金字大蔵経)』巻第32
10~14世紀に朝鮮半島を支配した高麗王朝の第7代国王「穆宗」の母「千秋王太后」が、統和24年(1006年)に寵臣の金致陽と同心発願した一切経で、現存するのはこの1巻のみ。
紺紙に金泥で写経をし、表紙と表紙の裏の「見返し」部分には、銀泥で宝相華唐草文や散華供養をする菩薩像が描かれている。 見返しの端に、嘉慶2年(1388年)8月に権律師豪憲が、近江(現在の滋賀県)の金剛輪寺へ施入したことが記されており、古くから日本に伝わっていたもの。
この国宝を観るには
2018年に国宝指定され、同年の新指定文化財展で公開されている。 数年に1度程度は公開されるのではないかと思われる。
公開履歴
2023/9/5~9/24 九州国立博物館 文化交流展示(通常展)
2021/2/4~2/28 京都国立博物館「日本書紀」
2018/4/17~5/6 東京国立博物館「新指定国宝・重要文化財展」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-8831
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】0280-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】紺紙金字大宝積経〈巻第三十二/(高麗国金字大蔵経)〉
【ふりがな】こんしきんじだいほうしゃくきょう
【員数】1巻
【国・時代】朝鮮・高麗時代
【寸法・重量】縦29.0cm、全長831.7cm、16紙
【品質・形状】紺紙金字・巻子装
【ト書】統和二十四年千秋王太后及金致陽同心発願経
【所在地】京都国立博物館
【国宝指定日】2018.10.31
【説明】高麗の統和二十四年(穆宗九年、一〇〇六)穆宗の母后千秋王太后が寵臣金致陽と同心発願して書写せしめた紺紙金字一切経の唯一の遺巻で、その端厳な書風は北宋前期の書法を伝えている。高麗の装飾経の現存最古の遺品であり、殊にその見返【みかえし】絵は成立年代を明らかにする高麗最古の紙本絵画として価値が高い。なお見返には朱筆で嘉慶二年八月権律師豪憲の施入記があり、本経が古くより請来され、南北朝時代末には湖東の金剛輪寺にあったことを伝えている。