国宝『菅浦文書・菅浦与大浦下庄堺絵図』
琵琶湖の北岸で、入江のように湖に突き出た部分の西側「菅浦」の鎮守社「須賀神社」に伝わった古文書類で、鎌倉時代~江戸時代の文書類656冊(1,281通)と絵図が一括で国宝に指定されている。 国宝に指定された古文書は多いが、寺社や大名家などに伝わる資料に限られ、庶民についてのまとまった文書として、初の国宝指定を受けた。
菅浦は朝廷に貢物を納める「供御人」であり、その具体的な内容や、周辺地域との争いなどもうかがえる。 室町時代になると、地域の自治集落である「惣」となり、警察権や裁判権を持っていたため、その決まり事なども記されている。 戦国時代には、この地を治めた浅井氏に関する資料もみられる。
この国宝を観るには
滋賀大学経済学部附属史料館に寄託されており、機会は少ないが同資料館で公開されることがある。 2015年秋に10年ぶりに公開された。
公開履歴
2023/10/30~11/12 菅浦郷土史料館「国宝【菅浦文書】里帰り展1」
2023/8/21~9/18 長浜城歴史博物館「長浜城主・秀吉と歴代城主の変遷」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-8996
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00062-01
【種別】古文書
【指定名称】菅浦文書(千二百八十一通)/菅浦与大浦下庄堺絵図
【ふりがな】すがうらもんじょ(せんにひゃくはちじゅういっつう)/すがうらとおおうらしものしょうさかいえず
【員数】65冊、1幅
【国】日本
【時代・年】鎌倉~江戸時代
【所有者】須賀神社
【国宝指定日】2018.10.31
【説明】琵琶湖の北岸滋賀県伊香郡菅浦の地に伝来した区有文書で、鎌倉時代より江戸時代に至る総数千二百七十九点を存している。その内容は菅浦の歴史を反映し多岐にわたっているが、特に「惣」を中心とする中世村落の規模を具体的に伝えた文書として、わが国歴史上にその価値が高い。
絵図は鎌倉から南北朝時代にかけて隣接する寺門円満院領大浦庄と庄内唯一の田地である日差・諸河の地をめぐる堺相論の際に作製されたもので、山門檀那院領として竹生島の支配の下にあった菅浦庄の庄域や、竹生島都久夫須麻神社の社頭景観等を簡略ではあるがよく描写して注目される。
※このページの写真は、国立歴史民俗博物館の複製品の写真です