スポンサーリンク

国宝-書跡典籍|屏風土代(小野道風筆)[三の丸尚蔵館/東京]

国宝DB-書跡・典籍

国宝『屏風土代』小野道風筆

平安時代に入り遣唐使が廃止されると、様々な面で中国の影響が減り日本化が進み、書も「和様」と呼ばれる様式が確立される。 和様の書を代表する3名(小野道風・藤原佐理・藤原行成)の能書家を「三跡(三蹟)」と呼ぶが活躍時期は異なり、小野道風は最も早い時代に活躍し、和様の書を創始したとされる。

これは、小野道風と大江朝綱が醍醐天皇から宮中の屏風を作ることを命じられ、大江朝綱が作った漢詩を小野道風が書いたときの下書きで、清書された屏風はすでに失われている。 この命については、平安時代に編纂された歴史書「日本紀略」にも記載があり、書かれた背景や由来が判明した貴重なもの。 小野道風の真筆では、他に『智証大師諡号勅書』が国宝に指定されている。

東京藝術大学大学美術館「日本美術をひも解く」チラシより

小野道風のこと

小野妹子の子孫で、六道珍皇寺の井戸からメイドに通って閻魔大王に使えたという小野篁(おののたかむら)は、道風の祖父にあたる。 醍醐天皇から村上天皇の3代に仕え、官位はそれほど高くないが、書の評価が高かったので、朱雀天皇と村上天皇の大嘗会で色紙形を書いている。 

花札で唯一人物が描かれている「雨」の札は、書の道をあきらめようと思い詰めた道風が、蛙が何度も柳に飛びつき、ついには柳の葉に届いたのを見て、自分は努力が足りないと思いなおした姿を描いたもの。

この国宝を観るには

2021年秋に国宝に指定されたばかりだが、それ以前にも三の丸尚蔵館や国立博物館等での特別展へ出展されていたので、今後も公開される機会があると思われる。

公開履歴

2022/9/6~9/25 東京藝術大学大学美術館「日本美術をひも解く
2021/7/20~8/29 九州国立博物館「皇室の名宝
2020/11/3~11/23 京都国立博物館「皇室の名宝
2019/5/3~6/2 東京国立博物館「美を紡ぐ 日本美術の名品

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-11963
【指定番号】281
【種別】書跡・典籍
【指定名称】屏風土代〈小野道風筆/〉
【ふりがな】びょうぶどだい〈おののみちかぜひつ/〉
【員数】1巻
【国】日本
【時代・年】平安時代
【作者】小野道風
【所在地】宮内庁三の丸尚蔵館
【所有者】宮内庁
【国宝指定日】2021.09.30
【説明】本書巻は、延長六年(九二八)に醍醐天皇(八八五~九三〇)の勅命によって大江朝綱(八八六~九五七)が作った漢詩を小野道風(八九四~九六六)が屏風に貼る色紙形に清書するために試し書きした土代(下書き)である。温和で豊潤な中にも力強さを感じる本書巻の書風は、王羲之の書法が反映されてはいるが、中国書法に強い影響を受けた平安時代前期の書法の域を脱している。
 道風は、平安時代中期の三蹟の一人として極めて著名であり、唐様の書が用いられていたなかで和様の書を創始し、我が国の書風・書流に極めて大きな影響を与えた人物である。その後、和様の書は同じく三蹟の一人藤原行成(九七二~一〇二七)によって完成され、江戸時代末に至るまでの我が国の書道の基礎となった。
 本書巻には、「春日山居」など七言律詩八首と「問春」など七言絶句三首が行草体で書かれている。本書巻の詩は、『和漢朗詠集』には朝綱の詩として「春日山居」の頷聯や頸聯など八聯が摘句されている。
 行間のところどころには、本文の傍らに同じ字を小さく書き加えた箇所がある。また、行末には書ききれなかった二文字を小さく書いたり、脱字を行間に書き加えている。各漢詩の題辞の上には「乙一」「丙二」等の文字が小さく書かれており、屏風に色紙を貼る位置や順番を示したとする説もある。このように本書巻には下書きとしての特徴がよく残されている。
 原則として一首を一紙に記すが、うち三首については料紙が小分割されていて、全一八紙である。紙継目で文字が僅かに切れている箇所があるので、書写してから切断して再び継ぎ直したと考えられる。
 『日本紀略』延長六年十二月条から、醍醐天皇が大江朝綱に命じて「御屏風六帖」の題詩を作らせ、小野道風に清書させたことが知られる。
 世尊寺流の祖藤原行成より五代目の子孫である藤原定信(一〇八八~?)による「屏風土代」奥書にも同様の記述がある。また、奥書左端には「十八枚也、道風手」とあり、細切れにされた本紙の枚数と一致しているので、当時から紙数の増減は無いものと認められる。
 また、藤原行成筆「白氏詩巻」(東京国立博物館保管、国宝・昭和三十二年指定)には本書と同じく定信の奥書があり、保延六年(一一四〇)十月二十二日の朝、定信が経師の妻から本書と「白氏詩巻」を買い求めたことが知られる。
 本書巻は、我が国の書道史上で極めて重要な人物である小野道風の真跡として、最も評価が高いものである。また、『日本紀略』や奥書の記事によって制作の契機や伝来の経緯など歴史的背景も押さえることができる。よって、我が国の書道史上の代表作といえるものであり、文化史上にも比類無く貴重である。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
タイトルとURLをコピーしました