国宝『維摩居士坐像』
維摩(ゆいま)は、釈迦の在家の弟子「居士(こじ」で、仏経典の「維摩経」に多く書かれている。 多くの知識を持ち弁の立つ人物で、維摩居士が病を得た時に、見舞いに訪れた文殊菩薩と問答をしたことが有名。
安倍文殊院の国宝『渡海文殊・脇侍像』のように、文殊菩薩の脇侍として表現されるほか、文殊菩薩と対で問答の姿として安置される場合もある。 法華寺の本堂では、堂にはいってすぐ手前の曹司の左右に、中央を向きあって安置されている。
像は90cmほどで、木造で像を作った上から、乾漆で衣の一部分を盛り上げている。 顔は彫が深くはっきりした顔だちをしており、口は言葉を発しているようにわずかに開く、写実的な表現がされている。 体格は厚みがあり、両手の高さをやや違えて手前に差し出している。
この国宝を観るには
法華寺の本堂内に安置されており、拝観時間内はいつでも観ることができる。
法華寺にはあと2つ国宝があるが、本尊の『十一面観音立像』は春(3~4月頃)・秋(正倉院展期間と同じ)・6/7前後のみの公開、絵画の『阿弥陀三尊・童子像』は秋のみ公開なので、正倉院展の期間内だと3件全ての国宝を観ることができる。
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-4005
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00134-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造維摩居士坐像
【ふりがな】もくぞうゆいまこじざぞう
【員数】1躯
【時代・年】奈良時代
【所在地】法華寺
【国宝指定日】2017.09.15
【説明】釈迦の在家の弟子である老哲学者の像。写実的な面貌表現は天平彫刻的だが、側面観の力強い構えに平安初期につながる特色を示す。興福寺の重要な法会、維摩会が8世紀後半に一時期法華寺に移されて行われており、この時に造立されたとみられる。