国宝『短刀 銘 来国俊』
鎌倉時代中期に山城国(現在の京都府)で興った刀工集団「来派」には、「国俊」と銘を切るものと「来国俊」と3字で切るものがおり、作風も異なることから別人とされるが、同人物の作風の違いとする説もある。 来国俊は、太刀から短刀まで幅広い作例が残り、この短刀は「熱田の来国俊」と呼ばれる。
この短刀は、表に「来國俊」、 裏に「正和五年十一月日」の銘が入る。 切先は「平造」という角度のつかない形で、反りはやや内反り、刃文は直刃で穏やかな姿をしている。
この国宝を観るには
東京国立博物館に寄託されており、同館でまれに展示されるほか、熱田神宮に里帰りすることもある。
熱田神宮では、令和3年秋に日本刀専門の展示施設「草薙館」のオープンを予定しているので、そこでの展示も予想される。
公開履歴
2021/1/1~1/26 熱田神宮 文化殿「日本の聖地を訪ねて」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-462
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00168-00
【指定名称】短刀〈銘来国俊/正和五年十一月日〉
【ふりがな】たんとう〈めいらいくにとし/しょうわごねんじゅういちがつひ〉
【員数】1口
【時代・年】正和5年(1316年)
【作者】来国俊
【寸法・重量】身長25.1cm、元幅2.5cm、茎長11.2cm
【品質・形状】平造、三つ棟、重ね厚く、内反、尋常の姿。鍛小板目肌よく約み、地沸細かにつく。刃文広直刃浅く湾れ、小足葉入り、表裏匂口の叢立ち、小沸よくつく。
【画賛・銘等】表「来國俊」 裏「正和五年十一月日」
【所在地】東京国立博物館
【所有者】熱田神宮
【国宝指定日】1955.02.02
【説明】銘より来国俊76歳の作と考えられる。常の作と異なり、身の長さに比べて身幅が広く、重ねが厚く頑丈な造り込みであるが、地沸のよくついた地鉄と、沸出来の直刃には同工の特色がよく示される。