金沢文庫と称名寺のこと
現在は神奈川県立になっている「金沢文庫」は、金沢流北条氏が邸宅内に設立した日本初の武家の文庫で、金沢北条氏は今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」主役の北条義時(小栗旬)の孫にあたる北条実時が家祖です。 トンネルを抜けて隣にある称名寺(しょうみょうじ)は、金沢北条氏が邸宅内に建立した持仏堂から発展した寺で、金沢北条氏の菩提寺でした。 実時は義時が亡くなった年に生まれたようなので、ドラマに金沢氏は登場しないかもしれませんが、北条氏ゆかりの土地ということで、聖地めぐりに加えてもいいかもしれません。
特別展「春日神霊の旅-杉本博司 常陸から大和へ」
1月下旬から約2ヶ月の会期で開かれる「春日神霊の旅」は、名前の通り奈良の春日大社に関する信仰と、関東とのつながりがテーマになっているようです。 春日大社の『本殿』は4つの棟が横に並び、第一殿には茨城県鹿島神宮の「武甕槌命(たけみかづちのみこと)」、第二殿には千葉県香取神宮の「経津主命(ふつぬしのみこと)」を祀っています。 藤原氏の氏神で、都とのゆかりが深い印象ですが、元は関東の神々なんですね。 称名寺と金沢文庫に伝わる国宝文書から、春日大社に関係する古文書類も多数公開されるようです。
サブタイトルには「杉本博司 常陸から大和へ」とついていて、この展覧会の主催に名を連ねている(公財)小田原文化財団は、杉本博司氏の活動を紹介する財団なのだそうです。 同氏が集めた春日信仰に関する美術品も公開されるようで、リストには同氏の作品や表層を手掛けた絵画などもあって、これも楽しみの1つです。
この展覧会で観られる国宝
称名寺聖教/金沢文庫文書[称名寺]
前期(1/29~2/23)
・泰澄和尚伝
・社頭発願
・春日御社事
・春日御本地尺
・狛行光事
・春日権現験記抄
後期(2/25~3/21)
・春日御社事〈付垂迹〉
・俊盛卿因縁
・多聞房已講事
・春日因縁少々
・讃仏乗抄
約2万点もの文書類で構成される国宝『称名寺聖教/金沢文庫文書』から、春日大社に関する資料が前期に6点、後期に5点が公開されます。 前期の「春日権現験記」は、三の丸尚蔵館から出展される『春日権現験記絵』に関する文書でしょうか?気になります。
本宮御料古神宝類[春日大社]
前期(1/29~2/23)のみ「黒漆平文唐櫛笥」
春日大社の本宮に伝わった古神宝から「黒漆平文唐櫛笥」が出展されます。 何だかよくわかりませんので、名称を分解してみましょう。 黒漆=黒い漆塗りで、平文=薄い金属板を形に繰り抜いて貼る装飾技法の、唐櫛笥=櫛などの化粧道具を入れる箱、ということになります。
若宮御料古神宝類[春日大社]
前期(1/29~2/23)のみ「水精玉」
春日大社の御子神様の若宮に伝わる古神宝から「水精玉」が公開されます。 文化庁の国宝指定の内容一覧では「水晶玉」となっていて、名前の通り宝石の水晶を玉状に加工したものです。
春日権現験記絵(高階隆兼筆)[三の丸尚蔵館]
前期(1/29~2/23)巻第14「隆覚僧正事ほか」
後期(2/25~3/21)巻第16「解脱上人事」
昨年、国宝に指定された鎌倉時代の宮廷絵師「高階隆兼筆」による「春日権現験記絵」全20巻から、前後期でそれぞれ1巻が公開されます。 前期に公開される「隆覚僧正」は平安時代末の興福寺の僧、後期の「解脱上人」は平安~鎌倉時代に海住山寺を再興した法相宗の僧です。
展覧会 概要
日程:2022/1/29~3/21
時間:9:00~16:30(入館は30分前まで)
休館:毎月曜日(祝日は開館)、2/24(展示替え日)
料金:大人¥800、未成年と学生¥600、65歳以上¥200、高校生¥100
神奈川県立金沢文庫 公式サイト