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特集|令和3年(2021年)新指定国宝

特集-まとめ

令和3年(2021年)国宝指定

国宝は、指定されることが発表されてから、実際に官報に掲載されて国宝になるまで半年ほどかかります。 美術品は、3月に発表されて9月頃に正式に指定ということが多かったのですが、今年はいつまでも発表されず、どうなるのかな~と思っていたら、7/16に文化庁から発表がありました。

今回は絵画4件、書跡1件ですが、これが全て「御物」なんです。 御物(ぎょぶつ、ごもつ)は、天皇や皇室が所有する品物を指す言葉で、皇居東御苑にある宮内庁管轄の「三の丸尚蔵館」収蔵の美術品も広義では御物とされています。 ちなみに、足利将軍家の品々は「東山御物」、徳川将軍家の品々は「柳営御物」といい、特に東山御物は南宋貿易や初期の茶道具の名品が多く人気があります。

今まで御物は、国宝や重要文化財などの文化財指定からは外れていました。 例外的に、奈良の正倉院が国宝に指定されましたが、これは国による文化財指定を受けていることが条件だった「世界遺産」登録のためでした。 今回国宝に指定された5件の所有者は、全て「国(三の丸尚蔵館所蔵)」となっているので、御物の意味合いが狭められたのか、御物も文化財指定の対象とする方針になったのか、どうなんでしょう?

文化庁のリリースは こちら

今回指定される国宝

春日権現験記絵(高階隆兼筆)

藤原氏の氏神「春日大社」の霊験が書かれた絵巻物で、絵は鎌倉時代の宮廷絵師「高階隆兼」が、詞書は鷹司基忠ら4人が書いています。 発願した西園寺公衡による、延慶2年(1309年)の目録がある「やまと絵」の名品で、全20巻が揃っているという大変貴重なものです。 高階隆兼の作品では他に、藤田美術館所蔵の『玄奘三蔵絵』が国宝に指定されています。

九州国立博物館「皇室の名宝」チラシより

蒙古襲来絵詞

鎌倉時代以降に武士の力が強くなると、「軍記」と呼ばれる芸術のジャンルができ、小説や絵画が多く作られました。 この『蒙古襲来絵詞』は、2度の元寇で戦った肥後国(現在の熊本県)の御家人「竹崎季長」の活躍を描いています。 それぞれの服装や武器なども正確に描かれているので、歴史資料としても貴重だといわれます。

九州国立博物館「皇室の名宝」チラシより

唐獅子図(狩野永徳筆)

絵画の名門、狩野派の4代目「狩野永徳」の描いた唐獅子の屏風で、非常に大型で迫力があります。 秀吉が本能寺の変を聞きつけて京都に戻る時に、毛利との講和で贈ったという伝承があるもので、戦国武将らしい豪壮さと華やかさがあります。 狩野永徳は、安土城や大阪城、聚楽第など、天下人達の障壁画を手掛けますが、そのほとんどが失われています。 それでも、『檜図屏風』『洛中洛外図屏風』、父の松栄との合作『聚光院方丈 障壁画』が国宝に指定されています。

東京国立博物館「美を紡ぐ 日本美術の名品」チラシより

動植綵絵(伊藤若冲筆)

伊藤若冲の作品が初めて国宝に指定されました。 『動植綵絵』という名前の通り、様々な生き物や植物が描かれ、鳥と花を取り合わせて描く「花鳥画」とその発展という感じです。 若冲といえば水墨画の鶏の絵をよく見かけますが、こちらは絹に彩色で描かれていて、鶏だけでなく孔雀や雀など多くの鳥が描かれています。 それでも全30幅中9幅は鶏が描かれていますので、さすが鶏の絵師ですね。 

九州国立博物館「皇室の名宝」チラシより

屏風土代(小野道風筆)

小野道風は平安時代の能書家で、「三跡(三蹟)」の1人に数えられます。 平安初期の能書家「三筆」は唐の影響が強かったのですが、その後日本風の様式に変化して、三跡で和様が確立されます。 これは、小野道風と大江朝綱が宮中の屏風を作ることを命じられ、大江朝綱が作った漢詩を小野道風が書いたときの下書きです。 本番の屏風はすでに失われているのだそうです。 小野道風の書では、他に『智証大師諡号勅書』が国宝に指定されています。

九州国立博物館「皇室の名宝」チラシより

この国宝を観るには

例年だと、国宝指定の発表後に東京国立博物館でお披露目の展示がありますが、今回は九州国立博物館の特別展「皇室の名宝」で、『唐獅子図』以外が公開されます。 『春日権現験記絵』は京都国立博物館の「京の国宝」でも観ることができます。 秋以降に東京国立博物館や三の丸尚蔵館で公開されないか、期待しています。

九州国立博物館「皇室の名宝」2021/7/20~8/29

※=期間内で展示替えあり

通期
春日権現験記絵(高階隆兼筆)※
蒙古襲来絵詞
動植彩絵(伊藤若冲筆)

前期
屏風土代(小野道風筆)

九州国立博物館「皇室の名宝」チラシより

京都国立博物館「京の国宝―守り伝える日本のたから―」2021/7/24~9/12

通期
春日権現験記絵(高階隆兼筆)[宮内庁三の丸尚蔵館]※

京都国立博物館「京の国宝」チラシより
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