禅宗の嵐 展
秋の五島美術館は「禅宗の嵐」という名前の通り、禅宗に関する日本や中国の書画の展覧会です。 禅宗が日本に伝わったのは鎌倉時代ですが、出品リストを見ると大量の奈良時代の古写経が並んでいます。 二月堂焼経や長屋王願経など、有名な古写経が並んでいますので、キャプションで禅宗との関りなど学んできたいと思います。 禅僧の書「墨蹟」は、中国から日本にやってきた来朝僧、日本僧、中国僧と分かれていますので、それぞれの筆跡の違いや影響を見てみると面白そうです。 禅画は数は多くないですが、公開があまり多くない国宝『六祖挟担図』が前期に公開されます。
秋の五島美術館といえば、恒例の『紫式部日記』の公開もあります。 展示期間は会期後半の9日間だけですが、同期間には一緒に復元模写も公開され、実物の隣に描かれた往時を再現した作品が並ぶという贅沢な鑑賞環境になります。 この期間は混雑しますので、あえて期間を外して、現在の姿を再現した現状模写作品をゆっくり観るのもいいかもしれないです。 第2展示室では、桃山の陶芸が展示されるようで、漫画「へうげもの」にも出てきた伊賀焼の水差し「破袋」も公開されます。
この展覧会で観られる国宝
古林清茂墨蹟 送別偈
8/27~9/19
禅僧の書いた書を「墨蹟(ぼくせき)」と呼び、師が弟子に与えたり、僧同士で交わした書状など、内容は様々ですが、後に茶席の掛物として珍重されるようになります。 これは、中国・元時代の名僧「古林清茂(くりんせいむ)」が、日本からの入元僧で弟子の「別源円旨」の送別に書いたもので、偈(げ)は仏を讃える漢詩です。 別源円旨が開山となった弘祥寺から朝倉氏、織田信長を経て、家臣の丹羽長秀へ伝わりました。
六祖挟担図
8/27~9/19
禅宗の第6祖「慧能(えのう、恵能とも)」を書いた水墨画で、薪を売って母を養っていた慧能が、金剛経を聞いて出家を志すところが描かれています。 左下には作者と思われる「直翁」の印がありますが人物については不詳で、上部には南宋時代の僧「偃谿黄聞」による左から右に書かれた賛があります。 こちらでの展示が終わると、11~12月は神戸市立博物館の「よみがえる川崎美術館」展に出張されるようですね。
紫式部日記絵詞
10/8~10/16のみ公開、他の期間は模写本を展示
五島美術館では、春に国宝『源氏物語絵巻』を、秋にはこの『紫式部日記絵詞』を公開しています。 源氏物語を書いた紫式部は、藤原道長の娘の中宮彰子に仕えていて、この日記は彰子が一条天皇の皇子(後の後一条天皇)を出産した前後の様子が描かれています。 ただし、描かれたのは実際の出来事の2百年ほど後です。
展覧会 概要
期間:2022/8/27~10/16
時間:10:00~17:00
休館:月曜日(祝日は開館し、翌火曜日が休館)
料金:一般¥1,000、高大生¥700、中学生以下無料
五島美術館 公式サイト