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情報|東北歴史博物館「多賀城1300年」2024/10/12~12/15[宮城]

情報-博物館・美術館

多賀城1300年 展

仙台と松島のちょうど中間あたりに位置する「多賀城」は、奈良時代に東北支配の拠点として陸奥国府が置かれ、坂上田村麻呂による東征でも拠点になっています。 

JR東北本線「国府多賀城」駅の北西には国府跡が公園になっていて、再建中の南門近くには2024/8/27に国宝になったばかりの『多賀城碑』という石碑があり、神亀元年(724年)に大野東人によって多賀城が設立されたと彫られています。 今年はその年から1300年ということで、多賀城跡に近い東北歴史博物館で多賀城に関する大規模な展覧会が開かれています。

この展覧会で公開される国宝は3件ですが、西野山古墳出土品と木簡は複数公開されますので、点数にするとかなりの数の国宝が並びます。 特に、坂上田村麻呂の副葬品だったとみられる西野山古墳の出土品は公開される機会がとても少ないので、ぜひとも観ておくことをお勧めします。

平城京跡から出土した木簡は3期に分けて各4~5点公開されますが、もう1件の国宝の国分寺経は3期の真ん中の11/6~11/24には公開されませんので、訪問日にはご注意ください。

東北歴史博物館には通常展もあり、旧石器時代から現代までの東北の歴史が詳しく紹介されていて、ごく一部を除き写真撮影も可能になっています。 中尊寺の国宝なんかも、再現模型や複製がたくさん展示されています。

東北歴史博物館「多賀城1300年」チラシより
東北歴史博物館「多賀城1300年」チラシより

この展覧会で観られる国宝

国宝『山科西野山古墳出土品』[京都大学]

京都の山科で大正時代に発見された西野山古墳(古墓)は、諸説ありますが、征夷大将軍だった坂上田村麻呂の墓だといわれています。 田村麻呂が亡くなった時の天皇は嵯峨天皇で、その勅命によって武装した姿で東を向いて立った状態で埋葬されたと記録があり、副葬品の時代や位階が田村麻呂と一致するのだそうです。 今回は、「金装大刀」「金銀平脱双鳳文鏡」「鉄鏃」「石帯飾破片」「黒色土器」が期間を通して公開されます。 所蔵する京都大学ではほとんど公開されず、国立博物館等の大きい展覧会で時々公開される位なので、ちょっと無理をしてでも観に行くことをお勧めします。

国宝『平城宮跡出土木簡』[奈良文化財研究所]

木簡(もっかん)は薄く削った木の板で、荷札や役所の記録など幅広く使われました。 徐々に紙の使用に切り替わったようですが、荷札としては長いこと使われていたようで、全国各地からの貢物の内容が書かれた木簡がたくさん残っています。 平城京の跡地から出土した3千を超える木簡が国宝に指定されていますが、保管地の奈良文化財研究所で毎年秋に数枚が公開されるだけで、これだけの数が1か所で公開されるのは珍しいのではないでしょうか。

国宝『平城宮跡出土木簡』[平城宮跡資料館]

※この写真は平城宮跡資料館で撮影したものです

10/12~11/4
・付札木簡「若狭国遠敷郡玉置郷田井里」
・付札木簡「参河国幡豆郡篠嶋海部供奉七月料」
・付札木簡「武蔵国男衾郡川面郷大贄」
・付札木簡「常陸国鹿嶋郡播麻郷大贄」
・付札木簡「近江国生蘇三合」

11/6~11/24
・付札木簡「阿波国進上御贄若海藻」
・付札木簡「若狭国遠敷郡野郷野里」
・付札木簡「参河国幡豆郡篠嶋海部供奉五月料」
・付札木簡「安房国朝夷郡健田郷仲村里」
・付札木簡「常陸国那賀郡酒烈埼所生若海藻」

11/26~12/25
・木簡「上総國安房郡白浜郷」
・付札木簡「能登国能登郡鹿嶋郷」
・付札木簡「若狭国遠敷郡青里御贄多比鮨」
・付札木簡「参河国幡豆郡篠嶋海部供奉七月料」

国宝『紫紙金字金光明最勝王経』[奈良国立博物館] 

10/12~11/04:巻第2 第1紙
11/26~12/15:巻第2 第2紙

名前の通り、紫色に染めた紙に金泥で写経をした経典で、聖武天皇の勅命で各国に国分寺が建立されると、その塔に紫紙金字金光明最勝王経が納められたので、国分寺経と呼ばれています。 金泥で写経をした後に、文字を猪の牙で磨いて光らせたのだそうで、1,300年前のものだと思えないような輝きです。 11/6~11/24の期間には公開されませんので、ご注意ください。

国宝『金光明最勝王経』奈良国立博物館

※この写真は奈良国立博物館で撮影したものです

国宝『多賀城碑』

今年、国宝に指定されたばかりの『多賀城碑』は、陸奥国の国府「多賀城(たがじょう)」に建てられた石碑で、多賀城に関する様々な情報が彫られています。 神亀元年(724年)の多賀城設立など古事記にも記されていない記録があり、建立された日時が天平宝字6年(762年)12月1日と彫られています。 1952年に国宝に指定された『那須国造碑』や群馬県高崎市にある「多胡碑」と共に「日本三古碑」とされていて、松尾芭蕉の奥の細道にも登場するのだそうです。

多賀城碑は現在も同じ位置にあるようで、保護のために木造の覆屋で囲われていますが、四方から多賀城碑を観ることができます。 周辺は史跡として整備が進められていて、多賀城碑近くに復元されている南門の完成予定は2025年4月とまだ整備の途中なのですが、周囲には田園風景が広がるのどかで素敵な場所です。 東北歴史博物館や国府多賀城駅から歩いて15分ほどなので、ぜひ本物の国宝を観に足を運ばれると良いと思います。

国宝『多賀城碑』
国宝『多賀城碑』の覆屋
多賀城南門の復元

展覧会 概要

日程:2024/10/12~12/15
休館:毎月曜日(祝日は開館し、翌火曜日が休館)
時間:9:30~17:00(発券は30分前まで)
料金:一般¥1,200、シルバー(65歳以上)¥1,100、小中高生¥500
場所:JR東北本線「国府多賀城」駅南口前 ※JR仙石線の多賀城駅ではありません

東北歴史博物館 公式サイト

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