スポンサーリンク

国宝-工芸|色絵雉香炉 仁清作[石川県立美術館]

国宝DB-工芸

国宝『色絵雉香炉』

雄雉を模った香炉で、顔はまっすぐに前を向き視線はやや上を見て、尾を水平に伸ばしてしゃがんだ姿をとる。 金沢の旧家に伝わったもので、現在は石川県が所有する。 同じ仁清作で、対で作られたと考えられひと回り小さい「色絵雌雉香炉」があり、前田家の家老に伝わったが、これも現在は同美術館に収蔵され、別々に伝来したものが現在は対で収蔵されている。

高さ20cm弱、長さは50cm近くあり、雉の実物大に近い大型の作品である。 胴の下1/3程の位置で、水平に2つにわかれるようになっており、背中の中心には煙を出すための穴が4か所開けられている。 金と赤・黒・緑・紺青・紫など極彩色で華やかに彩られる。

国宝『色絵雉香炉(仁清作)』石川県立美術館
国宝『色絵雉香炉(仁清作)』石川県立美術館
国宝『色絵雉香炉(仁清作)』石川県立美術館

野々村仁清のこと

丹波野々村出身の陶工「清右衛門」は各地で修行した後に、仁和寺の門前に「御室窯(おむろがま)」を開く。 茶陶を手掛けることが多く、当時の文化人たちとも交流があり、仁和寺の門跡から仁和寺の“仁”と清右衛門の“清”をとって「仁清」の号を賜る。 自分の作品に「仁清」の銘を入れるようになり、陶工が職人から作家となる最初期の陶工と言える。

轆轤を得意とし、華やかで雅やかな絵付けが一番の特色といえる。 轆轤形成以外にも、法螺貝や鳥を模った香合に名品が多い。 茶人の金森宗和のアドバイスを受け茶道具を多く作り、この色絵雉香炉とMOA美術館所蔵『色絵藤花文茶壺』の2点が国宝に指定されるほか、20点近い重要文化財など、比較的多くの作品が美術館や寺社に残っている。

この国宝を観るには

所蔵館の石川県立美術館で、本作と対になる重要文化財「色絵雌雉香炉」と共に、原則として常設展示されている。

文化財指定データ

【台帳・管理ID】201-307
【指定番号】00021-00
【種別】工芸品
【指定名称】色絵雉香炉〈仁清作/〉
【ふりがな】いろえきじこうろ〈にんせいさく〉
【員数】1合
【作者】仁清
【時代・年】江戸時代
【寸法・重量】高18.0cm、長47.6cm
【品質・形状】胎土はきめの細かい白土を用い、身の内部と背裏の一分に釉薬をかける。仁清特有の白釉をむらなく掛ける。腹部を香炉の身にし、背には羽毛形の孔を四つ透かして煙出しとする。底は露胎。
【画賛・銘等】底裏に「仁清」の 幕印を捺す。
【伝来・他】金沢旧家-石川県
【所在地】石川県立美術館
【国宝指定日】1951.06.09
【説明】仁清は轆轤の名手であるとともに、彫塑的な細工物にも手腕を発揮し、その香炉や香合などは『雍州府誌』にも記される。
見事に装飾化した、華麗な雄雉の香炉である。色絵藤花文茶壺とともに双璧をなす名作として知られる。

出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
タイトルとURLをコピーしました