弘法大師と醍醐寺 展
醍醐寺の霊宝館は、本館と平成館は春秋の特別展のみ開館し、それ以外の期間は仏像棟だけが公開されます。 この秋は「弘法大師」の諡号が下賜されて1100年を記念した特別展で、「弘法大師と醍醐寺-空海上人への想い-」というタイトルが付いています。 チラシを読むと、空海の孫弟子で醍醐寺開山「聖宝」の遺志を引き継いだ、醍醐寺初代座主の「観賢」が醍醐天皇に願い出て、延喜21年(921年)に「弘法大師」が授けられたのだそうです。 空海は承和2年(835年)に高野山で入寂(亡くなること)していますので、死後かなり経ってから授けられているんですね。
特別展のリストを見ると、空海に関する資料がずらりと並んでいます。 日本を代表する能書家で三筆の1人でもある空海直筆の文書から、後世に執り行われた遠忌に関する資料まで、さすが醍醐寺の宝物館です。 弘法大師筆と伝わる書では、7件が国宝に指定されていますが、その内2件が公開されます。
この特別展で観られる国宝
薬師如来 両脇侍像
醍醐寺は、1時間ほど山を登った上に広がる上醍醐と、霊宝館がある下醍醐に分かれています。 この薬師三尊像は、醍醐寺に深く帰依された醍醐天皇の勅願で作られ、上醍醐にある国宝『薬師堂』に安置されました。 重厚で威厳のある薬師如来で、霊宝館本館の本尊的な存在になっています。
五重塔 旧四天柱
醍醐寺の国宝『五重塔』は、醍醐天皇の冥福を祈るために建てられたもので、京都最古の木造建造物です。 内部の柱や壁は、真言八祖像や仏像の絵が描かれ、この旧四天柱は霊宝館に収蔵されていて、本館が公開される時は毎回観ることができます。
醍醐寺文書聖教 から12点
醍醐寺に伝わる7万点近い文書類をまとめて国宝に指定したもので、今回は空海にまつわる12点の文書が公開されます。 空海の七百回忌・八百五十回忌・九百回忌と、年代の違う法要の資料が並ぶのは興味深いです。
大日経開題 空海筆
真言宗で特に重視される、大日如来について説いた「大日経」の解説書から、特に重要な部分を空海が抜き書きしたものです。 大きさや質の揃わない紙が継ぎ、草書・行書・楷書が混ざり行間もまちまちで、留学中の空海の熱心な様子が実感できます。
狸毛筆奉献表 伝空海筆
これも空海の書ですが、こちらは嵯峨天皇への献上品の目録なので、大日経開題とは異なるフォーマルな筆跡がみられます。 唐への留学中に空海が習得した、狸の毛を使って作った筆を、嵯峨天皇に献上した時の目録です。
特別展 概要
期間:2021/10/15~12/10
時間:9:00~17:00(入館は30分前まで)
休館:なし
料金:文化財維持寄付金¥500以上
醍醐寺 公式サイト