※新型コロナ感染拡大防止対策で、全ての来場者を対象に事前予約制になっているようです。
中宮寺のこと
奈良斑鳩の法隆寺に隣接する「中宮寺(ちゅうぐうじ)」は、法隆寺と同じ飛鳥時代頃の創建で、法隆寺とは男性僧と尼僧(女性僧)で分かれていたと考えられています。 聖徳太子が、母で用明天皇の皇后だった穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとひめみこ)没後に御所を寺に改めたもので、ご本尊も尼寺にぴったりな優しい表情をしています。
平安時代頃には一時衰退したようですが、鎌倉時代には信如尼によって再興され、現在は国宝に指定されている『天寿国繡帳』の修復など、文化財の保護も行われました。 16世紀に伏見宮家から姫君が入寺すると、以降は尼門跡寺院となり、現在は公家の日野西家から入寺した、日野西光尊門跡が住職をつとめるという由緒正しい寺院です。
奈良・中宮寺の国宝展
東日本大震災復興祈念として、2020年11月~2021年1月には宮城県美術館で『奈良・中宮寺の国宝』が開かれ、本尊『菩薩半跏像(伝如意輪観音)』が東北地方で初めて公開されました。 仙台では、国宝『天寿国繡帳』がパネルや複製での展示でしたが、九州国立博物館では前期のみですが現物が公開されます。
12/15時点ではまだ展示リストが公開されていませんが、仙台で公開された紙で作られたという珍しい仏像の重要文化財「文殊菩薩立像」や、尼寺らしい華麗さの「花鳥散図襖」、中宮寺再興の祖「伝信如比丘尼像」などは福岡でも公開されるようです。 また追記しますが、国立博物館ならではの文化財なども出るのではないかと期待してしまいますね。
この展覧会は、宮城県美術館と九州国立博物館の巡回で、ご本尊はその間5か月ほど中宮寺をお留守にされますが、実はこの期間中に本堂の改修工事が行われるんです。 中宮寺の本堂は、池の中に浮かぶ鉄筋コンクリート造のお堂で、昭和43年(1968年)に高松宮妃殿下の発願によって建立されました。 築後50年が経ち、老朽化が目立つようになったので、修復工事が行われるようです。 尼寺に相応しい水に浮かぶ優美なお堂が、美しくよみがえるのが楽しみです。
この展覧会で観られる国宝
菩薩半跏像(伝如意輪観音)[中宮寺/奈良]
美仏として有名な国宝の菩薩像です。 中宮寺では比較的間近でガラスなどもなく参拝することができますが、正面からしか観られません。 仙台では360度展示だったようなので、福岡でも横顔や背中まで観られるかもしれません。
天寿国繡帳[中宮寺/奈良]
1/26~2/21のみ
国宝の中でも、劣化の激しい織物類は公開が限られるので、この天寿国繡帳も貴重な公開の機会です。 甲羅に文字の書かれた可愛らしい亀がところどころにいて、中宮寺ではその亀甲モチーフのグッズが販売されています。 展覧会の物販でも出るかもしれませんね。
醍醐寺文書聖教から「太子曼荼羅講式」[醍醐寺/京都]
7万点近い古文書や経典が一括で国宝に指定されている、醍醐寺の「醍醐寺文書聖教」から、真如尼僧が再興した鎌倉時代の園城寺(三井寺)の僧「定円」が、天寿国繡帳と聖徳太子について書いたもののようです。
展覧会 概要
※新型コロナ感染拡大防止対策で、全ての来場者を対象に事前予約制になっているようです。
期間:2021/1/26~3/21
休館:月曜日
時間:9:30~17:00(金土は~20:00)
料金:一般¥1,800、高大生¥1,200、小中生¥800
九州国立博物館「奈良・中宮寺の国宝」 公式サイト