毛利家と毛利博物館のこと
鎌倉時代に遡る武家で、戦国時代には毛利元就の活躍により、孫の輝元の頃には中国地方一帯を治める大名になります。 豊臣政権の時は五大老になり、関ヶ原では西方の総大将に立てられますが、徳川幕府開幕後も減封はされたものの大名として長州藩主になります。 長州と薩摩を中心に明治維新が起きると、毛利本家は華族の最高位である公爵を叙爵されます。
山口県の南側中央あたりにある「防府市(ほうふし)」には、毛利侯爵家の本邸があり、東京等にある邸宅と区別するために「防府邸」「多々良邸」などと呼ばれていました。 大正5年(1916年)に完成した本邸は和風ですが、鉄骨やコンクリートなど当時の最新技術も使われ、各部屋はインターホンでつながれるなど伝統とモダンの融合したものです。 現在は「毛利博物館」として、年に7回ほどの企画展で毛利家伝来の文物が公開されます。
特別展 国宝
毛利博物館は4件7点の国宝を所蔵しており、毎年秋に1ヶ月半ほど「国宝展」として4件の国宝が全て公開されます。 今年は10/26~12/8なので、紅葉の季節にピッタリではないでしょうか。
この企画展で観られる国宝
四季山水図(雪舟筆)
室町時代の禅僧で水墨画を得意とした雪舟は、その作品が6点国宝に指定され、これは作者別の国宝指定数では1番多いです。 縦40cm長さは16mもある大型の絵巻物で、中国の風景が四季の移り変わりで描かれています。
古今和歌集(高野切本)
現存最古の古今和歌集写本で、豊臣秀吉から高野山に伝わったので「高野切」と呼ばれています。 元は20巻でしたが、巻物として現存するのは3巻のみで、全て国宝に指定されています。 毛利博物館には、源兼行筆だと考えられる第8巻が伝わっています。
菊造腰刀と拵
腰刀は、腰に差す短い刀のことで、この腰刀の刀身は26.5cmほど。 鎌倉末頃の作で、銘はありませんが奈良の当麻派によるものだと考えられています。 拵は全体が金梨子地で、合わせ目には「筒金」という金具が付いています。 菊の意匠が随所にあるのが「菊造」の由来です。
史記 呂后本紀第九
司馬遷による歴史書で、中国の正史といわれる「二十四史」の第一にあたる書籍です。 皇帝や王朝に関することをまとめた本紀12巻のうちの第9巻で、紀元前200年ごろの皇后(皇太后)で「中国三大悪女」の1人「呂太后」について書かれた部分です。 平安時代の1073年に、日本で書写されたものです。
展覧会 概要
期間:2019/10/26~12/8
休日:無休
時間:9:00~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,000、小中生¥500
博物館庭園共通券:一般¥1,200、小中生¥600
毛利博物館公式サイト:https://www.c-able.ne.jp/~mouri-m/