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情報|大津市歴史博物館「石山寺」2024/10/12~11/24[滋賀]

情報-博物館・美術館

石山寺のこと

奈良時代に聖武天皇の命で良弁僧正が建てたと伝わる石山寺は、琵琶湖から南に流れ出る瀬田川の入口西側の岩山の斜面に建っています。 33年に一度だけご開帳される勅封の如意輪観音をまつる巨大な本堂は、清水寺や長谷寺のような「懸造り(かけづくり)」で、古くから貴人の尊崇をあつめ、都から石山寺に参詣することが流行しました。 紫式部が参籠中に月を眺めて源氏物語の着想を得たという伝説で有名な月の名所です。

国宝『石山寺 本堂』の紫式部の間

大津市歴史博物館「石山寺」

中興の祖といわれる淳祐内供がよく学問をしたこともあり、学問の寺として名高かった石山寺には石山寺一切経をはじめとする経典や聖教がたくさん集められました。 国宝に指定された書跡・典籍・古文書の数は10件もあるんです。 …ですが、これらが公開されることは非常に少なく、一部?が寄託されていた琵琶湖文化館が展示公開をしなくなってからはごくまれに石山寺の宝物館「豊浄殿」や他館の展覧会に貸し出されるだけで、ほとんど公開されていませんでした。 今回は5件の国宝が公開されるので非常に貴重な機会なのですが、薫聖教以外は1件ずつの公開と、関西圏以外の人にはちょっと厳しいスケジュールです。 せめて前・後期の2回ならなんとか都合をつけたのですが。 管理人はあきらめモードですが、とにかくレア国宝ですので、行ける方はぜひとも足を運んでください。

この展覧会で観られる国宝

国宝『淳祐内供筆聖教(薫聖教)

前期(10/12~11/4)「略述金剛頂瑜伽分別聖位修證法門」
後期(11/6~11/24)「梵字胎蔵真言」

石山寺の中興の祖「淳祐内供」は菅原道真の孫にあたり、宮中で夜居の僧を務める内供奉も務めた高僧で、悉曇(しったん=梵字)の研究者として貴重な経典や書物の書写や蒐集を行いました。 この薫聖教は、淳祐が師の観賢に従って高野山へ行き、廟で空海の膝に触れると淳祐の手に芳香が移り、後に淳祐が記した聖教からも芳香がしたという伝説の残る淳祐自筆の聖教です。

国宝『史記

10/12(土)~10/20(日)に公開

史記(しき)は、紀元前100年頃の中国の歴史家「司馬遷」によって編纂された中国の歴史書で、全130巻に2000年以上の歴史が書かれている。 本紀(王や皇帝の記録)・表(年表)・書(制度)・世家(諸侯の記録)・列伝(その他の人物のエピソード)から構成される。 

この史記は奈良時代に書写されたとされる史記の最古級の写本で、列伝に含まれる第96巻の後半部分に、一部を欠く第97巻が続いている。 紙背には、平安時代後期に書写されたと考えられる「金剛界次第」が書かれている。

国宝『玉篇

10/22(火)~11/4(月祝)に公開

6世紀の中国で編纂された字書で、9,353字が部首別に分類されていて、中国ではすでに失われていてしまった貴重なものです。 全30巻のうち完全に残っているのは2巻だけで、伊勢神宮に伝わる国宝の第22巻と、前半は高山寺、後半は石山寺とに分割されている第27巻があります。 糸や索といった部首の漢字が書かれた部分です。

国宝『延暦交替式

11/6(水)~11/17(日)に公開

古代日本では、701年に「大宝律令」が制定されて法治国家の一歩を踏み出し、その後も時代によって律令を施行するための細かいルール集である「格」や「式」が定めらていきます。 この延暦交替式は、延暦年間に制定された役人の交替等に関するルールをまとめた式で、半世紀ちょっと後の貞観年間頃までには書写されたものだそうです。

国宝『漢書 高帝紀下』[石山寺/滋賀]

11/19(火)~11/24(日)に公開

漢書は中国の前漢時代(紀元前2世紀~紀元頃)について書かれた歴史書で、皇帝の伝記「本紀」や様々な人物が描かれた「列伝」があり、石山寺に伝わるのは「高帝記 下」と「列伝第4」の2巻です。  会期の最終週6日間だけ「高帝紀下」が公開されます。 

展覧会 概要

日程:2024/10/12~11/24
休館:月曜日(祝日は開館し、翌火曜日が休館)
時間:9:00~17:00(入館は30分前まで)
料金:一般¥1,000、高大生¥600、小中生¥200

大津市歴史博物館 公式サイト

石山寺の国宝

せっかく大津まで出かけたのなら、ぜひとも2つの国宝建造物のある石山寺まで足を延ばしましょう。 石山寺の最寄り駅は京阪の「石山寺」駅で、JRの石山駅からはバスか京阪に乗り換えることになります。 京阪でしたら石山寺駅から大津市歴博の最寄り駅「大津市役所前」まで乗り換えなしで20分ほどです。 大津市歴博の隣にはやはり国宝建造物のある三井寺がありますので、この2寺をじっくり観るなら一日仕事を覚悟しましょう。

本堂

紫式部も参籠した石山寺の本堂は、残念ながら平安時代末に火災で焼失していて、内陣は平安末、外陣は慶長年間に再建されました。 参拝ルートだといきなり舞台上に出るので、後で下から見上げて懸造りの迫力を感じてください。 特別な法要などと重ならなければ¥500で内陣に入ることができますので、可能ならこれも体験することをおすすめします。

国宝『石山寺 本堂』

多宝塔

建久5年(1194年)に源頼朝が寄進した多宝塔は、年代のはっきりした多宝塔の中では現存最古になるようです。 中には快慶作の大日如来が安置されて日中は開扉されていたのですが、2024年7月から諸事情によりしばらく閉扉すると発表されました。 参詣道の途中にある岩山を見上げると、多宝塔が神々しく鎮座していて、近くで見るのとはまた違った雰囲気です。

石山寺 多宝塔[滋賀]
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