聖域の美―中世寺社境内の風景―
信仰の場としてだけでなく、人々の集まる場所としてや、聖域として自然が護られたりと、寺社の境内は大昔から日本人にとって特別な場所でした。 そして、作品としても数多く残されています。 今回の展覧会では、日本全国の描かれた寺社境内の作品が揃う企画です。
Ⅰ.聖域と静謐と荘厳
平安~南北朝時代の境内図や宮曼荼羅を中心にした展示です。 春日、日吉、高野など、今でも残っている寺社も多いので、実際の様子と重ねてイメージできるのも楽しそうです。
重文「笠置曼荼羅」
重文「山王宮曼荼羅」※10/5~20[奈良国立博物館]
重文「高野山水屏風」[京都国立博物館]
重文「園城寺境内古図」
Ⅱ.物語をはぐくむ場所
寺社には、成立に関するエピソード=縁起や、霊験の伝承、寺社を舞台にした物語などが多くあり、それらは縁起絵や曼荼羅に織り込まれています。 このコーナーは、南北朝~室町時代の曼荼羅や縁起絵が観られるようです。
重文「玉垂宮縁起」10/5~20[玉垂宮]
「かるかや」サントリー美術館
Ⅲ.境内の記憶と再興
かつては大規模や寺社も、時代の流れで荒廃した例も数多くあります。 また、有力者や高僧などによって、荒廃から復興した例も多くあり、復興の際にはかつての栄光が絵にされたようです。
「松尾神社絵図」松尾大社
「三上古跡図」御上神社
Ⅳ.にぎわう境内
人々の生活が豊かになると、寺社は物見遊山や市など、人々の集まる場所としてもにぎわいます。 室町~江戸時代の風俗図に近い作品が多く出ています。
重文「吉野花見図屏風」狩野派[細美美術館]
「洛外名所遊楽図屏風」狩野永徳[個人蔵]
「釈迦堂春景図屏風」狩野松栄[京都国立博物館]
この展覧会で観られる国宝
一字蓮台法華経〈普賢菩薩勧発品〉
金銀箔を多用した、平安時代後期の華麗な装飾経です。 見返し部分(巻物の先頭の数十センチに絵などを描く)に、貴人が法要をしている様子が描かれています。 御殿の屋根だけを省略して中の様子を描く「吹き抜き屋台」や、引目鉤鼻の人物など、典型的なやまと絵の技法で描かれています。
展覧会 概要
期間:2019/10/5~11/17
休日:毎月曜日(祝日は開館し、翌火曜が休館)
時間:10:00~17:00
料金:一般¥950、高大生¥730、中学生以下無料
公式サイト:https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/culture/yamato/