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鑑賞ログ|五島美術館「秋の優品展-禅宗の美術と学芸-」2018年10月

国宝鑑賞ログ

東急電鉄創業者のコレクションが発展した五島美術館。敷地の一部が提供されたそうで、美術館は上野毛の閑静な住宅地にあります。上野毛駅から徒歩5分ほどですが、二子玉川からも15分くらいと徒歩圏内です。

こちらには禅画や茶道具のコレクションが多いようで、国宝も何点かあります。目玉は「源氏物語絵巻 紙本著色 絵4面詞9面」「紫式部日記絵巻 紙本著色 絵3面詞3面」ですね。源氏物語絵巻は春に、紫式部日記絵巻は秋に、それぞれ10日間ほど公開されるようです。 2018年は10/6(土)から10/14(日)の9日間。「禅宗の美術と学芸」という特集展示も開催されています。

まずはお目当ての「紫式部日記絵詞」です。展示1室の最奥に絵と詞書1枚ずつのセットが3セット。13世紀というと、紫式部が生きていた時代よりも100~200年ほど後の時代になるでしょうか? それでも色あせることもなくとても良い状態で残っています。

すでに巻物ではなく断簡になっており、縦が20cm程度、横はものによってですが50cmくらいでしょうか? それぞれ額に納められています。詞書の部分も、雲母刷りになるでしょうか?装飾的な料紙に柔らかい書体で、ほんの少しの漢字が混ぜられています。 詞書の原本部分だけでは素人には読めませんが、横になんと書いてあるか解説があるので、それを見ながらなら十分に読むこともできる文体です。

絵画部分は、選ばれている場面も中宮彰子が男子を出産後の祝いの場面を始め、華やかな場面が選ばれています。祝いの場面では女房が正装として前髪をちょこんと結ぶような髪型だったり、公達が女房に戯れかかって女房も扇で顔を隠しながらもまんざらではなさそうだったり、なんとんく当時の華やかな雰囲気が想像できます。

画像は五島美術館の「コレクション」→「紫式部日記絵巻」で見ることができます。

同時開催の「禅宗の美術と学芸」では、禅宗の幅広い教養が見られます。布袋さんや達磨さんのようなおなじみの題材から、夢想礎石や一休さんの書、なんだかとってもチャーミングな顔をした白隠さんの猿など。 ちょっと珍しいところでは、茶の道具の百科事典のような巻物があり、数十種類の茶入れの形が絵で一覧になっていて、これは国宝鑑賞のお供にぜひほしい!と思いました。 この巻物の他の部分には、茶碗や釜なども載っているんでしょうか。

展示室2は常設展で、五島美術館所蔵の陶磁器の展示です。 陶磁はマンガ「へうげもの」を読んでやっと少しだけ面白さを感じるようになったところ。 こちらの展示は解説がとても丁寧で、初心者でも見やすいなと思いました。 一番印象に残っているのは「水差 銘 破袋」五島美術館のサイトで写真を見ることができますが、この現物を見るとものっすごくパワフルです。 震災で焼けてしまったけど、古田織部の「こんな面白いのはもう出ない」的な手紙があったそうで、それだけパワーのある焼物です。

こちらの美術館は交通の便があまり良くないですが、そのぶん空いていてゆったりと過ごせます。 そして「ぐるっとパス」で企画展の入場ができる美術館なので、こういう気候のいい時はぐるっとパスで色々回りたいですね。 次は春の源氏物語絵巻を観に来ようと思います。

五島美術館 基本情報
WEB    https://gangoji-tera.or.jp/
住所   東京都世田谷区上野毛3-9-25
拝観時間 10:00~17:00(入館は~16:30)
休館日  毎月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替、夏期、年末年始など
入館料  通常:大人¥1,000、高校・大学生¥700、中学生以下¥0
特別展  展示により異なる場合あり
割引   団体20名以上¥800、ぐるっとパス2018で企画展無料
交通   東急大井町線「上野毛」徒歩5分、各線「二子玉川」徒歩15分
アクセス 渋谷から約40分、品川から約40分、東京駅から約60分
施設   庭園には季節の花々や石仏が点在(入園のみ¥300)、茶室は非公開
国宝   古林清茂墨蹟、史記、無準師範墨蹟、六祖挟担図、理趣経、源氏物語絵巻、紫式部日記絵詞、日向国西都原古墳出土金銅馬具類
イベント 友の会を対象とした講座や教室、一般向けのギャラリートークなど週に1~3回あり
※訪れる時は最新の公式情報をご確認ください

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