涅槃図とは
釈迦の入滅(亡くなること)を描いたもので、釈迦の命日に営まれる「涅槃会」の本尊として掛けられる。 涅槃図は一般的に、釈迦が右脇を下にして横たわり、周囲に嘆き悲しむ弟子・菩薩・衆生のほか、動物や虫までが集まり悲しんでる。 天から、摩耶夫人(釈迦の生母)が降り立つ様子が描かれる。
涅槃図は、平安後期~鎌倉時代にかけては、人物や動物がそれほど多くなく、悲しみの表現も比較的穏やかに表現される。 鎌倉後期頃からは画面が縦に長くなり、嘆き悲しむ様子がおおげさに表現される。 人物は菩薩や天部などの仏、弟子や在家信者まで様々な衆生が描かれ、生き物は獅子や麒麟のような空想上のもの、象や孔雀など仏教によく描かれるもの、昆虫や蛇や水の生き物まで描かれるものもある。
国宝『仏涅槃図』
金剛峯寺に伝わる涅槃図は、応徳3年(1086年)の銘があり、現存する日本最古の作例である。 平安時代らしく、釈迦が比較的大きく描かれ、それを取り巻く菩薩や弟子たちがそれぞれに悲しんでいる。 手前の向かって右下には、のたうって悲しむ獅子が描かれている。 平安時代の仏画らしく、白・黒・赤・青・黄などの華やかな彩色が施されている。 描かれる人物の表情は、悲しむ様子を表現しながらも、穏やかで上品に描かれている。
この国宝を観るには
所蔵する金剛峯寺(高野山)にある「高野山霊宝館」で公開される場合があるが、機会はそれほど多くなく期間も短い。
公開履歴
2024/2/10~3/3 高野山 霊宝館
2021/10/5~11/28 高野山 霊宝館「高野山の名宝」
2020/8/25~9/27 高野山 霊宝館「如来―NYORAI―」2020/4/25~5/10 高野山霊宝館「ほとけさまと動物たち」※新型コロナで休館
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-27
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00024-00
【種別】絵画
【指定名称】絹本著色仏涅槃図
【ふりがな】けんぽんちゃくしょくぶつねはんず
【員数】1幅
【時代・年】応徳3年(1086年)
【ト書】「応徳三年丙寅四月七日甲午奉写己畢」の銘がある
【所有者】金剛峯寺
【国宝指定日】1951.06.09