国宝『五大尊像』
鎌倉時代に描かれた大型の掛け軸で、1体ずつ5幅の掛軸になっている。 「五大尊像」とは、不動明王を中心とした五大明王のことで、「五大尊の御修法」(または五壇法とも)の本尊とされた。 憤怒形をしており、手にはそれぞれ武器を持っている。 五大尊(五大明王)の絵画の作例としては、東寺の国宝『五大尊像』がある。
五大尊像の内容
不動明王 ふどうみょうおう
一面二臂で岩座に座して、右手には剣を持ち左手には羂索を持った姿をしている。 不動明王の右側(向かって左)には赤い姿で悪性の「制多迦童子(せいたかどうじ)」が、左側(向かって右)には白く優しい姿の「矜羯羅童子(こんがらどうじ)」が脇侍としている。
金剛夜叉明王 こんごうやしゃみょうおう
肌が青く三面六臂で目が五つあり、剣・法輪・弓矢・金剛杵などを持っている。 真言宗の五大明王は金剛夜叉明王だが、天台宗の五大明王は「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」となる。
降三世明王 ごうざんぜいみょうおう
三面八臂で、その内の2本の手は胸の前で交差するような「降三世印」を結んでいる。 足元にはヒンズー教の最高神である「シヴァ神」とその妃「ウマー」が踏まれており、 降三世明王 が異教の神を降伏させたことを表す
軍荼利明王 ぐんだりみょうおう
一面八臂三つ目で胸の前で「三鈷印」を結んでおり、腕・足・腰など体中に蛇を巻き付けている。 金剛夜叉明王ほどではないが、他の明王よりやや黒みがかった色をしている。
大威徳明王 だいいとくみょうおう
水牛に乗り、六面六臂六脚の姿をしている。 水牛は右向きに座って左側を振り返るような姿で、大威徳明王は6本のうちの2本の手で矢をつがえている。 六面は、三面の内の中心の顔の上に十一面観音のように三面を乗せている。
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醍醐寺文化財アーカイブス →「醍醐寺の国宝・重要文化財」→「鎌倉時代」
この国宝を観るには
所蔵する醍醐寺の霊宝館に出展されることがある。
公開履歴
2024/5/14~6/9 奈良国立博物館「空海 KUKAI」
2023/2/1~2/28 醍醐寺 霊宝館「醍醐寺の明王像」
2019/10/15~12/10 醍醐寺 霊宝館「醍醐寺の至宝」
2019/1/29~2/24 サントリー美術館「京都 醍醐寺」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-114
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00119-00
【種別】絵画
【指定名称】絹本著色五大尊像
【ふりがな】けんぽんちゃくしょくごだいそんぞう
【員数】5幅
【時代・年】鎌倉時代
【所有者】醍醐寺
【国宝指定日】1955.06.22
鑑賞ログ
2018年9月
サントリー美術館「醍醐寺展」
大迫力の五大明王。 高さも2mくらいか?かなり大型で色もはっきり残っている。 仏画も仏像と同じような流行があるのか、とても力強く描かれている。 だいたいまん丸くかわいく描かれる大威徳明王の乗っている水牛も、闘牛の牛みたいに描かれている。 お不動さんの2童子がかわいらしい。 軍荼利明王は蛇だらけ。 降三世明王はシヴァ神はしっかり踏んでいるが、ウマーは足の横ですまして座っている。