国宝『五重塔初層壁画』
醍醐寺の下醍醐に天暦5年(951年)に建てられた国宝『五重塔』の内部壁画として作られたもので、同年代に描かれたもの。 板に仏像や真言八祖などが描かれ、塔の中央を貫く「心柱」の覆いや羽目板などに配置されていた。
醍醐寺は、空海の孫弟子「聖宝」により平安時代初期に創建されたが、応仁の乱や火災などで焼失しており、下醍醐に残る創建当時からの遺構はこの五重塔くらいである。 五重塔は醍醐天皇の供養のために発願され、崩御後20年後に完成された。 この壁画とは別に『五重塔』も建造物として国宝に指定されている。
国宝指定の内容
両界曼荼羅図 心柱覆板絵:4、羽目板絵:7
真言八祖像 羽目板絵:7(善無畏を欠く)
国宝 附指定
両界曼荼羅図 旧四天柱絵:2、羽目板絵断片:4
こちらで画像が見られます
醍醐寺文化財アーカイブス →「醍醐寺の国宝・重要文化財」→「平安時代」
この国宝を観るには
毎月29日に「五重大塔開扉 納経法要」が行われる。 拝観料の他に納経料¥1,000納めて写経をすると、法要をしている五重塔の内部を拝観する事が出来る。
附指定の旧四天柱絵などは、霊宝館の開館時に観られることが多い。
日程:毎月29日
時間:10:30~、13:30~
料金:¥1,000
受付:当日、五重塔「清龍宮拝殿」で受付、写経の事前郵送も可能
イベント:29日は「醍醐市」も開催される
五重塔も国宝です
文化財指定データ
【台帳・管理ID】 201-00159
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00150-00
【指定名称】五重塔初重壁画
【よみかた】ごじゅうのとうしょじゅうへきが
【員数】18面
【品質・形状】板絵著色
【時代】平安時代
【年代】951年
【所有者】醍醐寺
【国宝指定日】1976.06.05
【解説】醍醐寺五重塔壁画は、天暦五年(九五一)十月塔の竣工と共に成ったもので、平安時代における壁画として平等院鳳凰堂のそれに並び最も重要な遺例にあげられる。壁画は塔初重内部の心柱覆板、四天柱、連子窓及び腰羽目板に両界曼荼羅の諸尊と真言八祖(善無畏を欠く)をきわめて効果的、立体的に配置し、絵の描写は平安前期以降の密教絵画の伝統にねざしながらも優美かつおおらかな藤原新様式の萠芽を窺わせ、新旧両様式の交錯する十世紀の基準作としてその価値は甚だ高い。
鑑賞ログ
2018年9月
サントリー美術館「醍醐寺展」にて
それほど大きくない板(幅20センチくらい?)に、ちょっとエキゾチックな感じで仏が描かれている。 全部で18面あるらしいが、今回はそのうち2面が出展されている。 平安時代となっているが、色もしっかり残っていた。 板なので虫食いもたくさん。 五重塔の中は東寺の五重塔を観たけど、中心の心棒を大日如来に見立てて立体曼陀羅のようになっていたから、醍醐寺のものも同じようになっているのか? だとすると、これも同様に曼荼羅の一部になるのかも。
2019年4月
前回の鑑賞は附指定の板のみでしたが、今回は法要の時に写経をして、内部を拝見させて頂きました。 中央の心棒のまわりには、醍醐天皇らの位牌があり、中央の基壇の柱や壁に仏画がびっしり描いてあります。 僧侶の方の読経が響く中で、自分で書写したお経を奉納させていただくという貴重な体験でした。