国宝『百済観音』
すらりと痩せ型で、8頭身のプロポーションをしており、大きさは2mを超える。 彫りの浅いあっさりとした表情で、口元には笑みを浮かべる。 右手は直角に曲げて、手のひらを上にして前に突き出し、左手は下げた手に水瓶を持ち、やや手前に出ている。 天衣(てんえ・てんね)という領巾(ひれ)状の衣をまとい、膝のあたりで左右にクロスしている。
江戸時代には虚空蔵菩薩とされていたが、明治になってから宝冠が見つかり、百済観音と呼ばれるようになる。 現在は大宝蔵院(法隆寺の宝物館)の左右の棟をつなぐ「百済観音堂」に安置されているが、観音堂ができるまでは、金堂に安置されていた。
クスノキの一木造で、木屎漆(こくそうるし=漆に木屑や繊維を混ぜたもの)で仕上げ、彩色している。 百済で作られたわけではなく、材質等により飛鳥時代頃に日本で作られたと考えられる。 古い寺の記録には本像と思われる記録がないため、別の寺にあったと推測されている。
この国宝を観るには
大宝蔵院の百済観音堂に安置されており、伽藍の拝観料金に含まれる。 開門時間内はいつでも拝観できる。
寺外での公開
2025/4/19~6/15 奈良国立博物館「超・国宝-祈りのかがやき-」
2020/3/17~5/10 東京国立博物館「法隆寺金堂壁画と百済観音」※新型コロナで中止
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-182
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00021-00
【種別】彫刻
【指定名称】木造観世音菩薩立像(百済観音)
【ふりがな】もくぞうかんぜおんぼさつりゅうぞう
【員数】1躯
【時代・年】飛鳥時代
【所有者】法隆寺
【国宝指定日】1951.06.09