国宝『澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃』
「唐櫃(からびつ)」は、衣服や調度品を入れたり、経典など文書類を納めた唐風(中国風)の蓋付き箱で、4本か6本の脚が付いている。 この小唐櫃は、平安時代後期に作られたもので、約30cm×40cmで高さも30cmほどと手箱のような大きさで、4本の脚が付く。 経典を納めていたと考えられている。
黒漆の地に、草花の生い茂る沢に千鳥が遊ぶ姿が、螺鈿細工と様々な蒔絵の手法で描き出されている。 中には「懸子」という中段が入り、宝相華の丸文や唐草模様が施されている。 現行の文化財保護法下での第1回(1961年)に、国宝指定を受けている。
こちらで画像が見られます
高野山霊宝館 公式サイト 「収蔵品の紹介」→「工芸(仏教)」
この国宝を観るには
それほど多くは無いが、高野山霊宝館で数年に1度は公開される。 ごくまれだが、展覧会へ貸し出されることもある。
公開履歴
2025/4/19~6/15 奈良国立博物館「超・国宝-祈りのかがやき-」※展示期間未確認
2022/10/1~11/13 三井記念美術館「大蒔絵展」
2022/4/22~5/8 MOA美術館「大蒔絵展」
2021/4/17~6/6 高野山霊宝館「高野山の名宝」
2019/7/20~10/6 高野山霊宝館「高野山の名宝 -きらめく漆工の美-」
2015/10/18~11/29 九州国立博物館「美の国日本」
2013/7/13~9/23 高野山霊宝館「高野山の名宝」
2011/4/29~7/10 高野山霊宝館「宝を護れ!~大正時代の保存プロジェクト~」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-322
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00035-00
【種別】工芸品
【指定名称】澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃
【ふりがな】さわちどりらでんまきえしょうからびつ
【員数】工芸品
【国】日本
【時代・年】平安時代
【寸法・重量】縦30.5cm、横39.9cm、高30.0cm
【品質・形状】銅製置口(後補)をつけ、四脚の上下に銀地鍍金の精妙な唐草文のある金具をかぶせた姿態の美しい小唐櫃である。蓋表と身の外側は全て黒漆地に水草生い茂る澤の流れに千鳥の群がり
【所有者】金剛峯寺
【国宝指定日】1951.06.09
【説明】金と青金の研出蒔絵を主体に一分の螺鈿で表された千鳥には毛彫りが施され、土坡や岩などを蒔暈し、空間を平塵の地にするなど、巧に技法を駆使して色彩感を出し、情緒豊かな叙景表現である。また、地の黒に金具の金色と螺鈿の色調が互いに映える意匠は、蓋表の主文とは別の趣を出している。