手鑑とは
「手鑑」とは、筆跡のお手本集のようなもので、厚紙をジャバラ仕立てにしたものに、古今の断簡や色紙や短冊などを貼りまぜたもの。 桃山時代以降に古筆の鑑賞が流行すると、公家・武家から庶民にまで親しまれ、嫁入り道具にも加えられるようになった。
手鑑は、筆者の出身や地位により貼られる順がおおよそ決まっており、格の高いものでは先頭に「大聖武」という聖武天皇筆とされていた字の大きい経典が貼られ、その後に天皇や皇族の筆跡が続いた。 続いて高位の公家から有名歌人、高僧や武家、女性の筆跡などの順で並べられることが多い。
国宝『藻塩草』
古筆の鑑定を家業とし「古筆」の姓を名乗った古筆家に伝来した手鑑で、表には聖武天皇を先頭に117葉、裏には聖徳太子を先頭に125葉の、合計242葉を収める。 この手鑑は、蒐集や鑑賞よりも古筆の鑑定をするために用いられたものだといわれる。 一般的な手鑑は、古筆切の横に誰の筆跡かの付箋を貼っているが、この手鑑には貼らずに別に目録があり、鑑定の練習をしたと考えられる。
4大手鑑
国宝『手鑑 藻塩草』京都国立博物館 ※このページ
国宝『手鑑 見努世友』出光美術館
国宝『大手鑑』陽明文庫
国宝『手鑑 翰墨城』MOA美術館
この国宝を観るには
京都国立博物館の通常展で公開されるほか、展覧会への出展もある。
公開履歴
2023/6/13~7/30 京都国立博物館 名品ギャラリー
2020/10/27~11/16 大阪市立美術館「天平礼賛」
2019/10/12~11/24 京都国立博物館「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」
2017/7/25~9/3 京都国立博物館
2014/9/13~10/13 京都国立博物館
2013/7/13~8/12 東京国立博物館「和様の書」
2012/2/25日~3/25 出光美術館「古筆手鑑—国宝『見努世友』と『藻塩草』」
文化財指定データ
【台帳・管理ID】201-606
出典:国指定文化財等データベース一部抜粋
【指定番号】00064-00
【種別】書跡・典籍
【指定名称】手鑑「藻塩草」(二百四十二葉)
【ふりがな】てかがみもしおぐさ
【員数】1帖
【時代・年】奈良~室町時代
【所在地】京都国立博物館
【国宝指定日】1952.03.29
鑑賞ログ
2019年10月
京都国立博物館の「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」にて鑑賞です。 手鑑は、ジャバラで長いので、展示ケースいっぱいに延ばしても、ほんの一部しか観られないのが残念です。 国宝をパラパラさせてもらえないでしょうし。。
一流の手鑑は大聖武から、というのが定番ですが、こちらもおそらく聖武天皇でしょう。 この「おそらく」というのが、付箋が貼ってないからなのです。 手鑑は、古筆の右上あたりに「〇〇筆」とか「〇〇切」など、誰の書かとか何の断簡かなど書かれていますが、藻塩草はそれがありません。 古筆家に伝わったので、鑑定の練習にしたんだそうで、目録は別にあるようです。 現代の受験勉強のようですね。